2022年と2023年の天皇賞(秋)を連覇したイクイノックスは、両年ともJRA賞年度代表馬のタイトルを獲得した。さらに、2021年の優勝馬エフフォーリア、2020年の優勝馬アーモンドアイも、それぞれ同年のJRA賞年度代表馬に選出されている。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭は、いずれも年齢が5歳以下だった。6歳以上だったにもかかわらず3着以内に入ったのは、2013年3着のエイシンフラッシュが最後である。6歳以上の馬は評価を下げるべきだろう。〔表1〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
5歳以下 | 10-10-10-74 | 9.6% | 19.2% | 28.8% |
6歳以上 | 0-0-0-47 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中22頭は、前走の着順が3着以内だった。一方、4着以下だった馬は3着内率9.6%と苦戦している。さらに、2018年以降の過去6年に限ると〔0・1・1・41〕(3着内率4.7%)と苦戦傾向が強まっている。4着以下に敗れた直後の馬は割り引きが必要だ。〔表2〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 9-6-7-46 | 13.2% | 22.1% | 32.4% |
4着以下 | 1-4-3-75 | 1.2% | 6.0% | 9.6% |
過去7年の3着以内馬延べ21頭中20頭は、馬番が1番から9番だった。一方、馬番が10番から18番だった馬で3着以内に入ったのは2018年3着のキセキだけで、そのキセキも馬番は10番だった。外枠劣勢なレースとみておきたい。〔表3〕
馬番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜9番 | 7-7-6-42 | 11.3% | 22.6% | 32.3% |
10〜18番 | 0-0-1-37 | 0% | 0% | 2.6% |
過去6年の3着以内馬延べ18頭中13頭は、前年以降に東京・京都のGⅠにおいて2着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率8.2%と苦戦している。今年の出走馬の中で2023年以降に行われた東京・京都のGⅠで連対を果たしている馬は、相応に高く評価するべきだろう。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-3-4-8 | 28.6% | 42.9% | 61.9% |
なし | 0-3-2-56 | 0% | 4.9% | 8.2% |
なお、前年以降に東京・京都のGⅠにおいて2着以内に入った経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った5頭のうち3頭には、同年の札幌記念において2着以内に入った経験があった。前記の実績がなかったとしても、主要な前哨戦のひとつである札幌記念で連対を果たしている馬は、評価した方がよさそうだ。〔表5〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-2-1-2 | 0% | 40.0% | 60.0% |
なし | 0-1-1-54 | 0% | 1.8% | 3.6% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中14頭は、前走との間隔が中8週以上だった。一方、中7週以内だった馬は3着内率3.1%と苦戦している。2018年以前は前走から中7週以内で臨んだ馬の好走も少なくなかったが、近年の傾向を重視するならば、前走との間隔が比較的短い馬は過信禁物とみておきたい。〔表6〕
前走との間隔 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中7週以内 | 0-0-1-31 | 0% | 0% | 3.1% |
中8週以上 | 5-5-4-24 | 13.2% | 26.3% | 36.8% |
過去6年の優勝馬延べ6頭は、いずれも調教師の所属が美浦だった。また、この6頭は年齢が5歳以下だった点、前走の着順が3着以内だった点、当レースでの馬番が2番から9番だった点、前年以降に東京競馬場のGⅠにおいて2着以内に入った経験があった点も共通している。〔表1〕、〔表2〕、〔表3〕、〔表4〕などで挙げた傾向も考慮したうえで絞り込みたいところだ。〔表7〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 調教師(所属) | 年齢 | 前走の着順 | 馬番 | 前年以降の東京競馬場のGⅠにおける最高着順 |
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2018年 | レイデオロ | 藤沢和雄(美浦) | 4歳 | 1着 | 4番 | 1着(2017年日本ダービー) |
2019年 | アーモンドアイ | 国枝栄(美浦) | 4歳 | 3着 | 2番 | 1着(2018年ジャパンカップほか) |
2020年 | アーモンドアイ | 国枝栄(美浦) | 5歳 | 2着 | 9番 | 1着(2020年ヴィクトリアMほか) |
2021年 | エフフォーリア | 鹿戸雄一(美浦) | 3歳 | 2着 | 5番 | 2着(2021年日本ダービー) |
2022年 | イクイノックス | 木村哲也(美浦) | 3歳 | 2着 | 7番 | 2着(2022年日本ダービー) |
2023年 | イクイノックス | 木村哲也(美浦) | 4歳 | 1着 | 7番 | 1着(2022年天皇賞(秋)) |
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