昨年のスプリンターズSで初GⅠ制覇を果たしたママコチャは、同年から新設されたJRA賞最優秀スプリンターのタイトルを獲得した。また、そのスプリンターズSでママコチャとハナ差の2着に敗れたマッドクールは、今春の高松宮記念でGⅠ初制覇を果たしている。今回は、新潟・芝1200メートルで行われた2014年を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、枠番が1枠から5枠だった。一方、6枠から8枠は3着内率9.7%と苦戦している。〔表1〕
枠番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜5枠 | 8-8-8-75 | 8.1% | 16.2% | 24.2% |
6〜8枠 | 2-2-2-56 | 3.2% | 6.5% | 9.7% |
なお、枠番が6枠から8枠だったにもかかわらず3着以内に入った6頭のうち3頭は、同年の高松宮記念において2着以内に入っていた。一方、その実績がなかった馬は3着内率5.3%と苦戦している。今年上半期のスプリント王決定戦で2着以内に入っていた馬でない限り、外寄りの枠となった馬は過信禁物とみるべきだろう。〔表2〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-2-0-2 | 20.0% | 60.0% | 60.0% |
なし | 1-0-2-54 | 1.8% | 1.8% | 5.3% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、同年の東京・中山・京都・阪神・中京で行われたオープンクラスのレースにおいて1着となった経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率4.3%と苦戦しているうえ、2019年以降の過去5年に限ると〔0・0・0・41〕と3着以内に入っていない。この実績を持っていない馬は割り引きが必要だ。〔表3〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-9-7-43 | 14.5% | 27.5% | 37.7% |
なし | 0-1-3-88 | 0% | 1.1% | 4.3% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中14頭は、通算出走数が14戦以内だった。一方、15戦以上だった馬は3着内率が14.2%にとどまっている。〔表4〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
14戦以内 | 4-4-6-34 | 8.3% | 16.7% | 29.2% |
15戦以上 | 6-6-4-97 | 5.3% | 10.6% | 14.2% |
なお、通算出走数が15戦以上だったにもかかわらず3着以内に入った延べ16頭のうち13頭は、同年のJRAの重賞において1着となった経験がある馬だった。この経験がなかった馬は3着内率4.2%と苦戦しているうえ、2019年以降の過去5年に限ると〔0・0・0・32〕と3着以内に入っていない。キャリア15戦以上かつ、今年に入ってから重賞を制していない馬は、上位に入る可能性が低いとみておきたいところだ。〔表5〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 5-6-2-29 | 11.9% | 26.2% | 31.0% |
なし | 1-0-2-68 | 1.4% | 1.4% | 4.2% |
過去6年の3着以内馬延べ18頭中14頭は、前走が国内かつ、新潟・芝直線1000メートル以外のコースで、前走の4コーナー通過順が2番手から7番手だった。一方、先頭だった馬は3着内率が9.1%に、8番手以下だった馬は同7.0%にとどまっている。前走の4コーナーを先頭や8番手以下で通過していた馬は、疑ってかかりたい。〔表6〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の4コーナー通過順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
先頭 | 0-1-0-10 | 0% | 9.1% | 9.1% |
2〜7番手 | 5-5-4-24 | 13.2% | 26.3% | 36.8% |
8番手以下 | 1-0-2-40 | 2.3% | 2.3% | 7.0% |
過去6年の優勝馬6頭は、いずれも枠番が1枠から5枠だった。また、この6頭は同年の東京・中山・京都・阪神・中京で行われたオープンクラスのレースにおいて1着となった経験があった点、前走の4コーナー通過順が5番手から8番手だった点も共通している。〔表1〕、〔表3〕、〔表6〕などで挙げた条件をクリアしている馬は、勝つ可能性が比較的高いとみてよいだろう。〔表7〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年 | 優勝馬 | 枠番 | 同年の東京・中山・京都・阪神・中京で行われたオープンクラスのレースにおける最高着順 | 前走の4コーナー通過順 |
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2018年 | ファインニードル | 4枠 | 1着(セントウルSほか) | 6番手 |
2019年 | タワーオブロンドン | 4枠 | 1着(セントウルSほか) | 7番手 |
2020年 | グランアレグリア | 5枠 | 1着(安田記念) | 7番手 |
2021年 | ピクシーナイト | 2枠 | 1着(シンザン記念) | 6番手 |
2022年 | ジャンダルム | 1枠 | 1着(オーシャンS) | 8番手 |
2023年 | ママコチャ | 3枠 | 1着(安土城S) | 5番手 |
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