夏季開催の最終週に行われる札幌2歳Sには、年末のGⅠや翌年のクラシックを目指す素質馬が集う。2020年優勝のソダシは阪神ジュベナイルフィリーズと桜花賞を制したあと、古馬になってからも活躍を続けたことは記憶に新しく、同年2着のユーバーレーベンは翌春にオークスを制覇。2021年の覇者ジオグリフも皐月賞を制するなど、ここ数年だけを見てもトップホースを続々と送り出している一戦だ。過去10年の結果を分析し、その特徴を探ってみたい。
過去10年の前走別成績を見ていくと、3着内率はオープン特別組が最も高い。大多数はクローバー賞またはコスモス賞からの臨戦で、そこで連対していた馬は〔1・3・2・7〕と半数近くが馬券に絡んでいる。なお、3着以内馬の数では30頭中17頭を新馬組が占めているので、デビュー戦を勝利した直後の馬も上位に評価したい。〔表1〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅢ | 0-0-0-3 | 0% | 0% | 0% |
オープン特別 | 1-3-3-18 | 4.0% | 16.0% | 28.0% |
新馬 | 5-5-7-55 | 6.9% | 13.9% | 23.6% |
未勝利 | 4-2-0-22 | 14.3% | 21.4% | 21.4% |
前項で触れた新馬組を掘り下げると、過去10年で東京デビュー馬は6頭が出走して2勝2着1回と半数が連対。函館デビュー馬も2勝を挙げている。一方、札幌デビュー馬が勝てていないことは気に留めておきたい。〔表2〕
前走の競馬場 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
札幌 | 0-2-3-23 | 0% | 7.1% | 17.9% |
函館 | 2-1-2-14 | 10.5% | 15.8% | 26.3% |
新潟 | 1-0-0-3 | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
東京 | 2-1-0-3 | 33.3% | 50.0% | 50.0% |
その他 | 0-1-2-12 | 0% | 6.7% | 20.0% |
未勝利戦を勝って臨む馬も侮れず、5勝中4勝はここ6年で挙げたものとなっている。また、そのうち3勝は新馬戦で2着に入っていた馬によるもので、新馬戦で2着だった馬は勝率60.0%と出色の成績を残している。しかも、2018年に勝ったニシノデイジーと2019年に勝ったブラックホールはともに単勝オッズが20倍台後半での優勝だった。同様の成績で臨む馬は、たとえ評価が低くても軽視禁物だろう。〔表3〕
新馬戦での着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2着 | 3-1-0-1 | 60.0% | 80.0% | 80.0% |
3着以下 | 1-1-0-21 | 4.3% | 8.7% | 8.7% |
過去10年の優勝馬はいずれも前走と同じ騎手が騎乗していた。2着と3着も同じ騎手が騎乗した馬が過半数を占め、2014年11番人気のマイネルシュバリエ、2016年10番人気のブラックオニキスを2着に導いたのも前走から継続して騎乗した騎手だった。〔表4〕
騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
前走と同じ | 10-7-7-58 | 12.2% | 20.7% | 29.3% |
乗り替わり | 0-3-3-40 | 0% | 6.5% | 13.0% |
一方、乗り替わりとなった馬が下位人気だった場合は好走例が乏しく、単勝5番人気以下では〔0・0・1・32〕と、3着内率が3.0%まで下がってしまう。また、前走が札幌以外だった馬が乗り替わった場合も〔0・0・0・21〕と好走できていない。裏を返せば、乗り替わりでも4番人気以内、かつ前走も札幌だった馬は軽視禁物。該当馬は〔0・3・2・2〕の成績で、3着内率は71.4%に達している。〔表5〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 着順 | 馬名 | 単勝人気 | 前走の競馬場 |
---|---|---|---|---|
2014年 | 3着 | レッツゴードンキ | 7番人気 | 札幌 |
2015年 | 2着 | プロフェット | 1番人気 | 札幌 |
2017年 | 2着 | ファストアプローチ | 4番人気 | 札幌 |
2018年 | 3着 | クラージュゲリエ | 1番人気 | 札幌 |
2020年 | 3着 | バスラットレオン | 1番人気 | 札幌 |
2023年 | 2着 | パワーホール | 4番人気 | 札幌 |
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