2023年の天皇賞(春)でGⅠ初制覇を果たしたジャスティンパレスは、その後同年の宝塚記念で3着に、天皇賞(秋)で2着に入った。また、2022年の優勝馬タイトルホルダーは、次走の宝塚記念でも勝利を収め、同年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬に選出されている。JRAの平地GⅠとしてはもっとも距離の長いレースだが、近年の優勝馬は中距離のビッグレースでも活躍しているケースが多く、総合的な能力の高さを問われる一戦になっていると言えそうだ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、通算出走数が21戦以下だった。一方、22戦以上だった馬は3着内率9.2%と苦戦しているうえ、2017年以降の過去7年に限ると〔0・2・0・40〕(3着内率4.8%)である。キャリアが豊富過ぎる馬は過信禁物とみておきたい。〔表1〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
21戦以下 | 9-7-8-77 | 8.9% | 15.8% | 23.8% |
22戦以上 | 1-3-2-59 | 1.5% | 6.2% | 9.2% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中22頭は、前走の着順が1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0.2秒以内だった。一方、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.3秒以上だった馬は3着内率7.6%と苦戦している。大敗直後の馬は割り引きが必要だ。〔表2〕
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前走の着順ならびに1着馬とのタイム差 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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着順が1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0.2秒以内 | 8-7-7-38 | 13.3% | 25.0% | 36.7% |
着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.3秒以上 | 2-3-3-97 | 1.9% | 4.8% | 7.6% |
競走中止 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、前走が国内、かつ前走の4コーナー通過順が6番手以内だった。一方、同7番手以下だった馬は3着内率4.8%と苦戦しているうえ、2016年以降の過去8年に限ると〔0・1・0・46〕(3着内率2.1%)である。前走の4コーナーを7番手以下で通過していた馬は、評価を下げるべきだろう。〔表3〕
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前走の4コーナー通過順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6番手以内 | 10-8-8-76 | 9.8% | 17.6% | 25.5% |
7番手以下 | 0-2-1-59 | 0% | 3.2% | 4.8% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、前年以降のJRAのGⅠ・GⅡにおいて“着順が1着、かつ4コーナー通過順が7番手以内”となった経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率5.6%と苦戦している。前年以降のGⅠやGⅡを勝っていない、もしくは勝っていたとしても4コーナー8番手以下からしか勝っていない馬は、疑ってかかりたい。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-9-6-34 | 15.5% | 31.0% | 41.4% |
なし | 1-1-4-102 | 0.9% | 1.9% | 5.6% |
なお、前年以降のJRAのGⅠ・GⅡにおいて“着順が1着、かつ4コーナー通過順が7番手以内”となった経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った延べ6頭のうち4頭は、JRAの2000メートル超3000メートル未満のGⅠにおいて3着以内に入った経験がある馬だった。前年以降のGⅠやGⅡを4コーナー7番手以内から勝っていないうえ、2400メートル前後のGⅠで馬券に絡んだこともない馬は、好走する可能性が低いとみてよさそうだ。〔表5〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-1-2-11 | 6.7% | 13.3% | 26.7% |
なし | 0-0-2-91 | 0% | 0% | 2.2% |
過去10年の優勝馬延べ10頭は、いずれも当レースより短い距離のGⅠにおいて2着以内に入った経験がある馬だった。この経験がなかったにもかかわらず優勝したのは、2012年のビートブラックが最後である。当レースより短い距離のGⅠで連対したことがない馬は、勝つ可能性が低いとみるべきだろう。また、この10頭は前走の4コーナー通過順が6番手以内だった点も共通している。〔表3〕で挙げた傾向も考慮したうえで絞り込みたい。〔表6〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 当レースより短い距離のJRA・GⅠにおける最高着順 | 前走の4コーナー通過順 |
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2014年 | フェノーメノ | 2着(2012年天皇賞(秋)ほか) | 3番手 |
2015年 | ゴールドシップ | 1着(2014年宝塚記念ほか) | 2番手 |
2016年 | キタサンブラック | 1着(2015年菊花賞) | 先頭 |
2017年 | キタサンブラック | 1着(2017年大阪杯ほか) | 2番手 |
2018年 | レインボーライン | 2着(2016年菊花賞) | 4番手 |
2019年 | フィエールマン | 1着(2018年菊花賞) | 6番手 |
2020年 | フィエールマン | 1着(2018年菊花賞) | 4番手 |
2021年 | ワールドプレミア | 1着(2019年菊花賞) | 4番手 |
2022年 | タイトルホルダー | 1着(2021年菊花賞) | 先頭 |
2023年 | ジャスティンパレス | 2着(2021年ホープフルS) | 2番手 |
ご注意 「今週の注目レース」ページの情報は、特別レース登録馬や過去のレース結果に基づいて制作しております。JRAが特定の競走馬を応援、推奨するものではありません。出走取りやめ、出走取消などにより、掲載した競走馬がレースに出走しないことがあります。