2023年の高松宮記念は、単勝オッズ32.3倍(12番人気)のファストフォースが勝ち、同42.1倍(13番人気)のトゥラヴェスーラが3着に入ったこともあり、3連単66万8280円の高額配当決着となった。それ以前にも、2022年に同278万4560円、2019年に同449万7470円と、さらに高い配当が飛び出している。なお、単勝1番人気の支持に応えて優勝を果たしたのは2016年のビッグアーサーが最後で、2017年以降の単勝1番人気馬は〔0・1・1・5〕と期待に応えられていない。この難解な一戦を読み解くべく、今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中21頭は、馬番が1番から9番だった。一方、10番から18番だった馬は3着内率10.0%とやや苦戦している。どちらかと言えば内寄りの馬番が優勢なレースとみておきたい。〔表1〕
馬番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜9番 | 7-6-8-69 | 7.8% | 14.4% | 23.3% |
10〜18番 | 3-4-2-81 | 3.3% | 7.8% | 10.0% |
なお、馬番が10番から18番だった馬は、馬場状態が良だった年(2016年・2018年・2019年)に該当馬延べ27頭が全て4着以下に敗れている。また、稍重だった年(2015年・2017年)のうち、直近の2017年も該当馬9頭が全て4着以下に敗れている。レース時の馬場状態が良や稍重になりそうなら、内寄りの馬番となった馬をより高く評価した方がよさそうだ。〔表2〕
馬場状態 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
良 | 0-0-0-27 | 0% | 0% | 0% |
稍重 | 0-1-1-16 | 0% | 5.6% | 11.1% |
重 | 2-1-1-23 | 7.4% | 11.1% | 14.8% |
不良 | 1-2-0-15 | 5.6% | 16.7% | 16.7% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中21頭は、前走の着順が1着、もしくは1着馬とのタイム差が0.2秒以内だった。一方、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.3秒以上だった馬は3着内率8.4%と苦戦しているうえ、2020年以降の過去4年に限ると〔0・0・2・38〕(3着内率5.0%)と苦戦傾向が強まっている。大敗直後の馬は疑ってかかるべきだろう。〔表3〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の着順ならびに1着馬とのタイム差 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
着順が1着、もしくは1着馬とのタイム差が0.2秒以内 | 8-8-5-51 | 11.1% | 22.2% | 29.2% |
着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.3秒以上 | 2-2-5-98 | 1.9% | 3.7% | 8.4% |
競走中止 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去4年の3着以内馬12頭中7頭は、前走がJRA、かつ上がり3ハロンタイム(推定)順位が2位以内だった。該当馬は3着内率も38.9%と優秀な水準に達している。前走で出走メンバー中2位以内の上がり3ハロンタイム(推定)をマークしていた馬は、有力とみておきたい。〔表4〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2位以内 | 2-4-1-11 | 11.1% | 33.3% | 38.9% |
3位以下 | 1-0-3-44 | 2.1% | 2.1% | 8.3% |
なお、前走がJRA、かつ前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が3位以下だったにもかかわらず3着以内に入った4頭のうち3頭は、前走の競馬場が京都・阪神、かつ出走頭数が18頭だった。前走で出走メンバー中2位以内の上がり3ハロンタイム(推定)をマークできなかった馬のうち、そのレースが京都・阪神以外の競馬場であったり、17頭以下の頭数だった馬は割り引きが必要だ。〔表5〕
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前走の競馬場ならびに出走頭数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
京都・阪神、かつ出走頭数が18頭 | 1-0-2-6 | 11.1% | 11.1% | 33.3% |
京都・阪神以外、もしくは出走頭数が17頭以下 | 0-0-1-38 | 0% | 0% | 2.6% |
過去4年の3着以内馬12頭中8頭は、前年以降のJRAのGⅠ・GⅡにおいて2着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率9.1%と苦戦している。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 3-3-2-20 | 10.7% | 21.4% | 28.6% |
なし | 1-1-2-40 | 2.3% | 4.5% | 9.1% |
なお、前年以降のJRAのGⅠ・GⅡにおいて2着以内に入った経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った4頭のうち3頭は、“前年以降のJRAの左回りコース、かつ出走頭数が18頭の重賞”において4着以内に入った経験がある馬だった。前年以降にJRAで行われたGⅠ・GⅡ、もしくは左回りかつ18頭立ての重賞で上位に入れていない馬は、過信禁物とみるべきだろう。〔表7〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-1-1-8 | 9.1% | 18.2% | 27.3% |
なし | 0-0-1-32 | 0% | 0% | 3.0% |
2020年以降の優勝馬4頭は、いずれも年齢が5歳以上だった。2020年以降は年齢ごとの3着内率に大きな差がないものの、4歳馬が勝ち切れていない点には注意が必要だ。また、この4頭は前走の着順が1着、もしくは前走の1着馬とのタイム差が0.2秒以内だった点も共通している。〔表3〕などで挙げた傾向も考慮したうえで絞り込みたいところだ。〔表8〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 年齢 | 前走の着順 | 前走の1着馬とのタイム差 |
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2020年 | モズスーパーフレア | 5歳 | 4着 | 0.2秒 |
2021年 | ダノンスマッシュ | 6歳 | 1着 | - |
2022年 | ナランフレグ | 6歳 | 2着 | 0.1秒 |
2023年 | ファストフォース | 7歳 | 2着 | タイム差なし |
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