2023年のフィリーズレビューは、単勝オッズ4.8倍の2番人気だったシングザットソングが優勝を果たした一方で、同オッズの1番人気に支持されていたブトンドールは6着に敗れた。フィリーズレビューを単勝1番人気の支持に応えて制したのは、2015年のクイーンズリングが最後である。なお、2018年以降の過去6年に限ると単勝1番人気馬の成績は〔0・1・0・5〕で、3着以内に入ったのは2022年のナムラクレアだけだ。波乱含みの一戦を読み解くべく、今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中11頭は前走がGⅠだった。該当馬は3着内率が36.7%と優秀な水準に達している。前走がGⅠだった馬は高く評価するべきだろう。〔表1〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 2-6-3-19 | 6.7% | 26.7% | 36.7% |
GⅠ以外 | 9-3-7-126 | 6.2% | 8.3% | 13.1% |
一方、前走がGⅠ以外だったにもかかわらず3着以内に入った19頭のうち18頭は、前走の着順が5着以内、かつ前走の4コーナー通過順が2番手以下だった。前走がGⅠではなかった馬のうち、そこで大敗を喫していた馬や、4コーナーを先頭で通過していた馬は、疑ってかかった方がよさそうだ。〔表2〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の着順ならびに4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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5着以内、かつ4コーナー通過順が2番手以下 | 9-2-7-66 | 10.7% | 13.1% | 21.4% |
6着以下、もしくは4コーナー通過順が先頭 | 0-1-0-60 | 0% | 1.6% | 1.6% |
過去8年の3着以内馬24頭は、いずれも京都・阪神競馬場の1200メートル超のレースにおいて“着順が6着以内、かつ4コーナー通過順が3番手以下”となった経験のある馬だった。関西圏の1200メートル超のレースで実績のない馬や、4コーナーを2番手以内で通過したレースでしか上位に食い込んだことのない馬は評価を下げたい。〔表3〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-7-8-50 | 12.2% | 21.6% | 32.4% |
なし | 0-0-0-67 | 0% | 0% | 0% |
過去6年の3着以内馬18頭は、前走の競馬場が“京都・阪神・中京・小倉”のいずれかだった。2017年以前は前走で関東以北の競馬場を使われていた馬もそれなりに好走していたが、近年の傾向からは過信禁物とみるべきだろう。〔表4〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の競馬場 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
京都・阪神・中京・小倉 | 7-5-6-61 | 8.9% | 15.2% | 22.8% |
その他 | 0-0-0-26 | 0% | 0% | 0% |
過去4年の3着以内馬12頭は、いずれも前走の馬体重が440キログラム以上だった。近年の傾向を重視するならば、前走の馬体重が440キログラム未満だった馬は割り引きが必要だ。〔表5〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の馬体重 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
440kg未満 | 0-0-0-25 | 0% | 0% | 0% |
440kg以上 | 4-4-4-32 | 9.1% | 18.2% | 27.3% |
過去10年の優勝馬11頭は、いずれも調教師の所属が栗東、かつ通算出走数が6戦以内、かつ前走の距離が1200メートル超だった。ちなみに、調教師の所属が美浦の馬、通算出走数が7戦以上の馬、前走の距離が1200メートル以下だった馬は全て3着以下に敗れている。これらの条件に引っ掛かる馬は、勝つ可能性が低いとみておきたい。〔表6〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 調教師(所属) | 通算出走数 | 前走の距離 |
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2014年 | ベルカント | 角田晃一(栗東) | 4戦 | 1600m |
2015年 | クイーンズリング | 吉村圭司(栗東) | 2戦 | 1600m |
2016年 | ソルヴェイグ | 鮫島一歩(栗東) | 4戦 | 1400m |
2017年 | カラクレナイ | 松下武士(栗東) | 3戦 | 1400m |
2018年 | リバティハイツ | 高野友和(栗東) | 3戦 | 1400m |
2019年 | ノーワン | 笹田和秀(栗東) | 5戦 | 1600m |
プールヴィル | 庄野靖志(栗東) | 5戦 | 1400m | |
2020年 | エーポス | 北出成人(栗東) | 3戦 | 1600m |
2021年 | シゲルピンクルビー | 渡辺薫彦(栗東) | 2戦 | 1600m |
2022年 | サブライムアンセム | 藤原英昭(栗東) | 6戦 | 1600m |
2023年 | シングザットソング | 高野友和(栗東) | 3戦 | 1600m |
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