オープンクラス入り後は5着、1着、1着、1着、5着、2着、2着。かきつばた記念（名古屋・ダート1500メートル）、マーキュリーC（盛岡・ダート2000メートル）、白山大賞典（金沢・ダート2100メートル）とJpnⅢを3連勝したあと、近2走はGⅠで連続好走し、本格化を遂げた。とりわけ強調できるのが前々走のチャンピオンズC。出遅れて後方からの競馬となったが、ほぼ直線だけの競馬で、勝ったレモンポップに0秒2差まで迫った。前走の東京大賞典（GⅠ）では一転、逃げての連対だったが、前々走のように脚力を生かす形なら、東京の長い直線は魅力に映る。また、前述のかきつばた記念はコースレコード勝ち。久しぶりとなるマイルだが、対応するだけのスピードも備えている。

オープン特別・三宮S（阪神・ダート1800メートル）、オープン特別・阿蘇S（小倉・ダート1700メートル）、JBCクラシック（JpnⅠ）と3連勝。そのJBCクラシックは重賞未勝利馬とは思えない正攻法の立ち回りで、最後は後続を離す一方だった。離した各馬にテーオーケインズ（3着）、メイショウハリオ（4着）、ウィルソンテソーロ（5着）らの実力馬がおり、当時獲得したレーティング118は今回のメンバーではトップとなっている。4連勝を狙った前走の東京大賞典（GⅠ、5着）は、遅い流れのなかで早めに追い上げることができなかった分、実力発揮とはならなかった。マイルは初めてだが、JBCクラシック同様の外め追走がかなえば、即巻き返しがあっていい。

もともとはJRA所属馬。フェブラリーSと同じ東京・ダート1600メートルの新馬戦でデビューして7馬身差で圧勝した。その後に1戦して大井へ移籍し、大井所属として4戦して兵庫へ転入。以後は兵庫のトップホースとして活躍している。一昨年の黒船賞（JpnⅢ・高知・ダート1400メートル）でダートグレード初制覇を果たすと、かきつばた記念（JpnⅢ・名古屋・ダート1500メートル）も連勝。昨年はさきたま杯（JpnⅡ・浦和・ダート1400メートル）、大井で行われたJBCスプリント（JpnⅠ・ダート1200メートル）を勝つなど、関東圏の競馬でも結果を残している。大井所属時の2021年ユニコーンS（12着）以来のJRA参戦だが、当時から大きく成長。楽しみなチャレンジになる。

2022年ホープフルSでGⅠ初制覇を遂げたが、これが芝の初勝利だったという異色の戦歴の持ち主。その後芝では結果を残せていない一方で、ダートはデビュー以来1着、2着、3着、3着と底を見せておらず、やはりこちらが適舞台とみるのが妥当だろう。サッと好位置が取れ、終いも確かなレース巧者。ここ2戦はウィルソンテソーロに先着を許しているが、チャンピオンズC（3着）は強かったレモンポップを追いかけての結果、東京大賞典（JpnⅠ、3着）は遅い流れの分、前との差を詰め切れなかった印象だ。東京のダートは初めてだが、ここでも好位が取れれば好勝負が可能だろう。

2021年に金沢・ダート1400メートルで行われたJBCスプリント（JpnⅠ）の覇者。それ以前には根岸Sを、その後は東京盃（JpnⅡ・大井・ダート1200メートル）を重賞勝ちに加えている。また、これまで日本調教馬未勝利のドバイゴールデンシャヒーン（G1・UAE・ダート1200メートル）での2着もある。これらの実績から適距離は1400メートル以下とみるのが普通だが、昨年のフェブラリーSは勝ち馬レモンポップに1馬身1/2差の2着。当時の3着馬がその後にJpnⅠを連勝するメイショウハリオなら、あらためて能力の高さを示した格好だ。管理する安田隆行調教師は来月頭で定年を迎える。自身が管理したロードカナロアの産駒でラストGⅠを飾れるか、この点にも注目が集まる。

昨年は初戦が三冠初戦の羽田盃（重賞・大井・ダート1800メートル）という厳しいローテーションだったが、終わってみれば4コーナー先頭の強い競馬で6馬身差の圧勝。続く東京ダービー（重賞・大井・ダート2000メートル）も楽に抜け出して再び6馬身差で圧勝した。JRA勢を交えたジャパンダートダービー（JpnⅠ・大井・ダート2000メートル）はいつもより後ろのポジションとなったが、追われてから抜群の反応を見せて優勝。見事、南関東クラシック三冠を達成した。無敗のまま挑んだ前走の東京大賞典（JpnⅠ）は8着と崩れたが、出遅れもあって気持ちが切れてしまったよう。参考外でいいのではないだろうか。本来、前進気勢の強い馬ゆえにマイルは好感。この舞台で一変があっていい。

一昨年のセントライト記念（1着）は、2着アスクビクターモアが次走の菊花賞を勝利し、3着のローシャムパークは翌年に函館記念とオールカマーを連勝。4着セイウンハーデスは七夕賞、5着ラーグルフは中山金杯を勝つなど、素質馬ぞろいだった。それらを撃破した本馬も高い資質を備えているはずで、実際GⅠで健闘。特にイクイノックスが勝った昨年の天皇賞（秋）では、差し馬が殺到するなか、先行して見せ場十分の5着に入った。母ナターレはクラウンC、戸塚記念、しらさぎ賞などを勝った南関東の名牝。ダートに舞台を移して飛躍を遂げる可能性は十分にありそうだ。

驚かされたのが前々走のグリーンチャンネルC（リステッド）。好位から楽に抜け出して2着馬に3馬身1/2差の快勝だった。見た目からして強かったが、不良馬場とはいえレースのラスト2ハロン11秒5、11秒8という速いラップに非凡さがはっきりと窺え、まだ余裕があったようにも見受けられた。続く東海Sは2着だったが、久々に加えて初の関西圏での競馬であったことを考慮すれば上々の内容。むしろキャリアを思えば、あらためて素質とセンスを示した一戦だった。実績面での見劣りは否めないが、今回はグリーンチャンネルCで結果を残しているコース。加えてまだ5戦のキャリアなら、成長の余地も大きい。軽視はできない。