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インスパイラル/ディディア
最大の焦点は、ヨーロッパでG1・5勝の実績を誇るマイル女王のインスパイラルが、ブリーダーズカップマイルではなく距離2000メートルのこちらに回ってきたことだ。ヨーロッパに比べて芝が軽く、瞬発力の勝負になることが多いのがアメリカの競馬で、そのいずれにもインスパイラルは高い適性を保持している。トラックが小回りできついコーナーをいかにハンドリングするかという課題は残るが、おそらくは速い流れになるだけに、3コーナー過ぎから持ち前の瞬発力を生かして進出し、直線入り口では先頭に立って勝負を決めるという競馬を、鞍上の名手L.デットーリ騎手はするはずだ。
ヨーロッパ勢の実績ナンバー2は、ウォームハートで、買い目に入れておくべき馬であることは間違いないが、一方で、広々とした競馬場で実績を残してきた馬だけに、サンタアニタのタイトなトラックへの適応に一抹の不安が残る。そこで2番手には、アルゼンチンのG1・2勝馬で、今回と同じコースで行われたロデオドライブS(G2・アメリカ)を勝っての参戦となるディディアを挙げたい。
1959年(昭和34年)東京生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の制作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬を学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
リンディー/ウォームハート
今年の出走馬の中で力量が最上位なのは、G1・5勝の実績を誇るインスパイラルで間違いない。しかし、彼女が制したG1は全てマイル戦で、それより長い距離を走ったことがない。その未知の領域に対して、同馬を管理するジョン・ゴスデン調教師は問題ないとしており、また、初めての経験となるタイトなコーナーも克服可能と公言している。しかし、私は大舞台で新たな領域にチャレンジするのはリスクが大きいと見て、インスパイラルの狙いは下げた。
私が1番手にとったのは、リンディーだ。フランスからの移籍馬で、フランス時代には、今年のフランス3歳牝馬世代では最強と目されるブルーローズセンの2着になった競馬が2度ある。
夏からアメリカに在籍。アメリカにおける重賞初挑戦となった前走クイーンエリザベスⅡ世チャレンジCで2着と、ここへのメドが立つ競馬をしている。
今年、ヨーロッパ2400メートル路線のG1を2勝したのがウォームハートだ。ここは近走よりも短い距離が舞台となるが、今年春にはこの距離のリステッドでも勝利しており、守備範囲にあると判断している。(訳:合田直弘)
ワールドワイドな競馬日刊紙サラブレッド・デイリー・ニュースのヨーロッパ・パートの編集責任者。これまでも、サラブレッド・オーナー&ブリーダー、ペースメーカーホース&ハウンド、レーシングポスト、インサイドレーシング(オーストラリア)など、数多くの競馬および馬術関係出版物に寄稿している。 少数ながら馬も所有し、生産と競馬にも従事。夫は調教師のジョン・ベリーで、現在はニューマーケット在住。
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