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馬インフルエンザウイルスの感染による非常に伝染力の強い馬の呼吸器感染症。国内では2007年8月に36年ぶりに流行し、競馬開催が1節中止となった。馬インフルエンザウイルスに感染すると、発熱、鼻漏、咳などの症状がみられるが、それらの多くは自然に治癒し、死に至ることことはまれである。ワクチンが存在し、予防と症状の軽減が期待できる。そのため、JRA施設内に入厩するすべての馬は、同ワクチンの接種を済ませておかねばならない。
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屈腱炎の俗称で単にエビと呼ばれることもある。前肢に多く発症する。肢勢、打撲、走行中に大きな負荷がかかることなどにより屈腱に刺激が加わると炎症を起こし、エビの腹のように腫れるところからこの名がある。治療には、物理療法、装蹄学的な処置が行なわれるが、完治しにくい病気であり、再発しやすい。
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主として前肢に発生し、ムコウズネ、ムコウゾエ、ソエとも呼ばれる。骨が完全に化骨していない若馬に急激な強い調教を行なったり、硬い走路で調教を行なうと、管骨(第3中手骨)の前面に炎症を起こす。初期であれば運動を軽くし、患部を冷却することにより治癒するが、重症になると腫れたり疼痛を伴うことがある。
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パドックでもまれに見受けられる歩様で、鶏の歩く様に似ているところからこの名がある。後肢が地面を離れる時に急激に肢を上げる歩様が特徴的である。通常、常歩(なみあし)(歩いている状態)でのみ現われる。駈歩(かけあし)(キャンター)、襲歩(しゅうほ)(ギャロップ)では消失するので、レースに対する支障はない。
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筋炎や筋肉痛の俗称である。軽症の場合は指で圧すると痛がる程度であるが、重症の場合は跛行を呈する。パドック等で「あの馬はコズんでいる」と言うことがあるが、動きがスムーズでなく、歩行がぎこちない状態をいう。通常はレース前のウォーミングアップで改善される。
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走行中に後肢の蹄の先端で前肢の蹄底を打撲した時、あるいは石などの硬いものを踏んだ時などに、蹄底におきる炎症(内出血)をいう。肢勢の悪い馬、蹄底の浅い馬、時として踏み込みの良い馬に発症しやすい。一般に前蹄に多く発症し、蹄に熱をもち、重度の跛行を呈することもある。
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心臓に異常な電気信号が起こり、心房が規則正しいリズムを失う不整脈の一種。競走馬がレース中に発症すると、血液を全身に上手く送り出せなくなるため、急激に失速する。ヒトの心房細動と異なり、全く異常のない競走馬がレース中に突如として発症し、特に治療を行なわなくても治癒するものがほとんどである。
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馬の腹痛を伴う病気を総称していう。疝痛には便秘疝、風気疝、変位疝などがある。馬は解剖学的に、(1)胃の容積が小さく、胃の噴門の構造上嘔吐することができない。(2)腸管が長いので固定されにくく、腸の位置が変わりやすい。(3)腸管の太い部分と狭い部分があるため内容物がたまりやすい、など疝痛を起こしやすい構造をしている。腸管等に原因があるほか、運動不足などでも発症する。特に、変位疝(腸捻転など)を発症すると開腹手術が必要となったり、致命的となることもある。
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ノドナリ、ぜいめいしょうともいわれる。喉頭部を支配する神経が麻痺し、喉頭口が狭くなって、呼吸のたびに「ヒュウ、ヒュウ」、「ゼイゼイ」と音を発する病気である。馬は全力疾走の時、多量の空気を必要とするが、喘鳴症になると充分な呼吸ができず、競走能力に影響をきたす。治療法としては外科手術が行なわれる。
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蹄底の下面にある蹄叉の凹部につまった汚物が原因で蹄叉角質が腐食し、悪臭をはなつ状態であり、腐食が進行して肉質な組織にまで達すると疼痛 が生じて跛行を呈する。蹄の手入不足等の他、厩舎や放牧場が過度に湿潤環境であることも発症の原因となることがある。裏堀りなどをこまめに行い、蹄に糞尿などが詰まったままにしておかないことが予防する上で重要である。
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馬の蹄の内部にある葉状層の病気だが、その発症のメカニズムは一つではない。対側の肢蹄に体重をかけらないほどの故障が発生し、それを庇った肢蹄が踏みかえることなく体重をかけ続けた場合や、消化管障害や感染症により微生物の毒素あるいは馬自身がつくる生理活性物質が血液中に異常に多くなった場合や、人のII型糖尿病のようにインスリンに反応しにくい体質により血中のインスリン濃度が高くなった場合などがそれぞれ最終的に葉状層の血流に異常を来して本症が起こると考えられている。
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馬特有の伝染病である馬伝染性貧血の略語である。感染馬は、発熱を繰り返し(回帰熱)、徐々に貧血と削痩が進行し死に至る。本病は馬産業に大きな損害をもたらす重大なものとして、家畜伝染病(法定伝染病)に指定されており、原則として感染馬は淘汰される。寒天ゲル内沈降反応(抗体検査法)が導入されてからは、感染馬の摘発・淘汰が進み、2017年に国内の清浄性が確認されている。
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寝起きの際に発生する事故を総称したもので、いわゆる「病気」とは異なる。寝ワラのかたまった場所や馬房壁の近くで寝た場合、不自然な姿勢となるが、この状態から無理に起きようとすると、関節や筋肉に故障を起こしやすく、また、外傷を負うこともある。これを寝ちがい(寝そこない)という。
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歩様に異常をきたしている状態をいう。負重するときに疼痛を示すもの(支柱跛行)、肢の挙楊時および前進時に疼痛を示すもの(懸垂跛行)、両方が混在する跛行(混合跛行)がある。跛行の原因には、骨、腱、関節、筋肉、神経等の異常が考えられる。一方、原因がはっきりしない場合、原因があると推測される部位により前肢跛行、後肢跛行(腰部に原因)と呼ばれることもある。
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鼻出血には打撲等の外傷性のものと内因性のものがある。外傷性の鼻出血は短期間で治り、再発しないが、気道や肺胞粘膜の毛細血管の破綻(はたん)による内因性の鼻出血は習慣性となることもある。レース中に鼻出血を発症した馬は競走能力が充分に発揮できず、突然失速する原因となることもある。
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皮下の組織に見られる急性の化膿性疾患である。化膿を起こす細菌は、外傷部位から侵入することが大半である。馬では病勢のテンポは極めて早く、一夜のうちに馬の肢が腫れ上がることも稀ではなく、激しい疼痛を伴う。早期発見、早期治療が肝心である。
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福島県いわき市の「競走馬リハビリテーションセンター」内にある施設で、骨折や屈腱炎などの脚の故障で十分にトレーニングを積めない療養馬の運動不足を、脚に負担のかけない水泳を用いて解消させ、少しでも早く第一線に復帰させる目的で用いられている。現在、美浦・栗東の各トレーニング・センターにも設置されている。泳ぎの上手、下手はあるが、馬のカナヅチは皆無といわれ、療養馬たちは1周約40メートルのプールを毎日(5から10月)10周程度泳いで体力の維持に励んでいる。療養馬だけではなく、現役競走馬の調教法の一環としても行なわれている。