札幌記念は負担重量が定量のため、ここを下半期の始動戦とするGⅠウイナーの参戦が多い。また、出走馬が後にGⅠを制した例も多いため、秋のGⅠ戦線を占う上で重要な一戦だ。そんなハイレベルな一戦をひも解くべく、過去10年の結果を分析していく。
過去10年の前走別成績を見ていくと、3着以内馬延べ30頭中18頭は前走がJRAのGⅠだった。また、昨年は香港のクイーンエリザベスⅡ世Cから臨んだプログノーシスが勝ったように、近年は海外G1から帰国初戦となる馬の存在感も増してきている。なお、同じサマー2000シリーズの対象レースである函館記念組は2勝を挙げているが、2018年以降は〔0・0・0・18〕と好走できていないので、近年の傾向を重視するのであれば割り引きたい。〔表1〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 5-7-6-26 | 11.4% | 27.3% | 40.9% |
GⅡ | 1-1-0-7 | 11.1% | 22.2% | 22.2% |
GⅢ | 3-1-3-51 | 5.2% | 6.9% | 12.1% |
海外G1 | 1-1-1-12 | 6.7% | 13.3% | 20.0% |
その他 | 0-0-0-18 | 0% | 0% | 0% |
当レースでは1番人気馬が現在12連敗中。とはいえ過去10年の3着内率は70.0%と安定しているので、1番人気馬は買い目には入れておくべきだろう。1着が多いのは5勝の2番人気馬で、ここ6年に限れば4勝の活躍ぶり。過去10年で1番人気馬と2番人気馬がそろって4着以下に敗れたのは2015年だけ。また、10番人気以下で馬券に絡んだのは2017年2着のナリタハリケーンの1例にとどまっているので、上位人気馬を軸に相手候補は9番人気以内の馬に絞って予想を組み立てるのがよさそうだ。〔表2〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 0-4-3-3 | 0% | 40.0% | 70.0% |
2番人気 | 5-1-0-4 | 50.0% | 60.0% | 60.0% |
3番人気 | 2-0-0-8 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
4番人気 | 0-1-4-5 | 0% | 10.0% | 50.0% |
5番人気 | 2-0-1-7 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
6〜9番人気 | 1-3-2-34 | 2.5% | 10.0% | 15.0% |
10番人気以下 | 0-1-0-53 | 0% | 1.9% | 1.9% |
過去10年の年齢別成績を調べると、3着以内馬延べ30頭中23頭は5歳以下だった。さらに、その23頭中22頭は単勝5番人気以内で、6番人気以下だった5歳以下の馬は〔0・1・0・39〕と苦戦している。一方、6歳以上の馬は馬券に絡んだ延べ7頭中6頭が6番人気以下だった。年齢によって傾向が異なることを覚えておきたい。〔表3〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
5歳以下 | 8-7-8-62 | 9.4% | 17.6% | 27.1% |
6歳以上 | 2-3-2-52 | 3.4% | 8.5% | 11.9% |
過去10年の性別成績では牝馬の好走率が高く、単勝5番人気以内であれば〔3・1・3・6〕と過半数が3着以内に入っている。一方、6番人気以下の牝馬は〔0・0・1・12〕と振るわない。下位人気の牝馬は割り引きたい。〔表4〕
性 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡・せん | 7-9-6-96 | 5.9% | 13.6% | 18.6% |
牝 | 3-1-4-18 | 11.5% | 15.4% | 30.8% |
以前は重賞未勝利馬がGⅠウイナーを撃破するシーンも見られたが、2018年以降の優勝馬6頭はいずれも重賞勝ちの実績がある馬だった。その6頭中3頭はGⅠウイナーで、残る3頭は前々走でGⅡを勝ち、前走のGⅠで5着以内に入っての参戦だった。毎年のようにGⅠウイナーが出走する一戦を勝ち切るには、高いレベルの実績を残してきたような馬でないと厳しいようだ。〔表5〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | GⅠ勝ち鞍 | 前走 | 前々走 |
---|---|---|---|---|
2018年 | サングレーザー | なし | 安田記念(GⅠ)5着 | マイラーズC(GⅡ)1着 |
2019年 | ブラストワンピース | 有馬記念 | 目黒記念(GⅡ)8着 | 大阪杯(GⅠ)6着 |
2020年 | ノームコア | ヴィクトリアマイル | 安田記念(GⅠ)4着 | ヴィクトリアマイル(GⅠ)3着 |
2021年 | ソダシ | 桜花賞など | オークス(GⅠ)8着 | 桜花賞(GⅠ)1着 |
2022年 | ジャックドール | なし | 大阪杯(GⅠ)5着 | 金鯱賞(GⅡ)1着 |
2023年 | プログノーシス | なし | クイーンエリザベスⅡ世C(G1)2着 | 金鯱賞(GⅡ)1着 |
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