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牝3歳
調教師:黒岩陽一(美浦)
デビュー3連勝で阪神ジュベナイルフィリーズを制し、1番人気に支持された前走・桜花賞でも2着に入った逸材。オークスには向かわず、3戦連続で適性の見込めるマイルGⅠに挑む。2歳女王として堂々と戦う。
1番人気で迎えた前走・桜花賞。道中は中団付近を追走し、3コーナー過ぎから進出を開始した。しかし、直線に入ったところで勝ち馬ステレンボッシュと馬体をぶつけ、やや外に膨れる場面。それでも最後まで懸命に食らいつき、2着は守り抜いた。騎乗した北村宏司騎手は「4コーナーで少し手応えが苦しくなったところで勝ち馬に割って出られてしまいました。その分の差が詰められなかったです」と振り返った。JRA賞最優秀2歳牝馬のNHKマイルC出走は、2016年メジャーエンブレム(1着)、2020年レシステンシア(2着)とともに連対している。潜在能力はメンバー屈指。前回の悔しさをここで晴らす。馬名の由来は「イタリアの都市名」。
牡3歳
調教師:高野友和(栗東)
デビュー3連勝で朝日杯フューチュリティSを優勝し、その後の共同通信杯(2着)、皐月賞(3着)でも3着以内を確保した。世代トップクラスのポテンシャルは疑いようがなく、2戦2勝のマイルに戻って本領を発揮する。
3番人気で挑んだ前走・皐月賞。いつも通り好位から正攻法の競馬で、ハイペースを果敢に追走した。直線で一度抜け出した時には勝利を予感させたが、ラストは1、2着馬の切れ味に屈して3着。騎乗した川田将雅騎手は「最後の200メートルは完全に止まりましたが、気持ちで最後まで走り切りました。JRA賞最優秀2歳牡馬として、素晴らしい走りをしてくれました」と相棒を称えた。NHKマイルCに2頭のGⅠ馬が出走するのは5年ぶり2回目。前回はJRA賞最優秀2歳牡馬のアドマイヤマーズが、桜花賞馬グランアレグリア(5着降着)を下している。本馬も強力メンバーの中で、堂々と中心を担う。馬名の由来は「インドにある天体観測施設」。
牡3歳
調教師:堀宣行(美浦)
人気が予想されたホープフルSは感冒のため出走取消。ここが仕切り直しの一戦となる。新馬戦、サウジアラビアロイヤルCで東京マイルは2戦2勝。強烈な決め手を秘めており、実力馬たち相手でも潜在能力は見劣りしない。
出走取消となったホープフルS以来だが、それまでのデビュー2戦で証明したポテンシャルは相当なものがある。2戦目のサウジアラビアロイヤルCは、1、2番人気馬が直線で競り合うなか、その外から驚異的な上がり3ハロン33秒5(推定)で突き抜けた。これはメンバー中最速のうえ、2番目に速い馬とは0秒6差。逃げ切り勝ちのメイクデビュー東京(芝1600メートル)とは一転、最後方から目の覚める末脚を繰り出し、ブリックスアンドモルタル産駒のJRA重賞初出走初勝利を飾った。無敗でのNHKマイルC制覇なら、2012年カレンブラックヒル以来。GⅠ初挑戦の大器が大仕事の予感だ。馬名の由来は「イランにある完全レンガ造の塔。母名、父名および父父名より連想」。
牡3歳
調教師:吉岡辰弥(栗東)
半兄が2023年共同通信杯を優勝したファントムシーフ(父ハービンジャー)という骨っぽい母系の出身。510キログラム超の雄大な馬格を備え、前走・アーリントンCもパワフルに差し切ってみせた。東京は初参戦となるが、タフな直線は合うイメージだ。
1番人気だった前走・アーリントンC。中団インで脚をためたが、直線は進路が開かなかったうえ、落ち着いたペースとなった。本馬には苦しい展開に見えたが、スペースを見つけると鋭い伸び脚で馬群を一気にのみ込み、2着アレンジャーを1/2馬身差し切った。騎乗したJ.モレイラ騎手は「素晴らしい脚を見せてくれました。スムーズに競馬ができていたらもっと切れる脚を使えていたでしょうし、GⅠのレベルでもやれる馬だと思います」と絶賛した。デビューから4戦は全て2000メートルに出走して1勝も、マイルに替わって2連勝中。2022年ダノンスコーピオン以来となるアーリントンCからの優勝を狙う。馬名の由来は「希望の光(伊)。勝ち続け、クラブの希望の光となってほしい」。
牡3歳
調教師:吉岡辰弥(栗東)
メイクデビュー東京、シンザン記念と芝マイル戦を2連勝。前走・毎日杯は逃げ切ったメイショウタバルが強すぎたが、初の重馬場にも屈せず2着を確保した。得意のマイルで、良馬場での出走がかなえば前進必至だ。
1番人気に支持された前走・毎日杯。好スタートから道中は好位2番手につけ、気持ちよく飛ばすメイショウタバルを徹底マークする形で運んだが、最後は6馬身離されての2着に敗れた。それでも重馬場と1800メートルという初めての条件が重なったなかで、シンザン記念勝ちの地力は示したと言えるだろう。騎乗した川田将雅騎手は「最後まで今日できる走りをしてくれました。勝ち馬とは馬場適性の差が出たと思います」と振り返った。かつては外国産馬の活躍が目立ったNHKマイルC。創設年の1996年に1着から8着までを独占し、2002年までは毎年連対を果たした。今年、唯一の外国産馬である本馬にも要注目だ。馬名の由来は「気高い+人名より」。
牡3歳
調教師:藤原英昭(栗東)
母が2012年の英1000ギニー(G1)を優勝したホームカミングクイーンという良血馬。本馬は後方待機策に出た前走・ファルコンSを、目の覚める末脚で一気に差し切り優勝した。才能が開花しつつある素質馬の勢いがこわい。
7番人気だった前走のファルコンS。後方14番手で末脚を温存し、直線は馬群の外から一気にはじけると、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒6(推定)で、逃げ粘るオーキッドロマンスを捕らえ、重賞初タイトルを手にした。騎乗した北村友一騎手は「調教に乗って難しい馬だと感じていましたが、レースではうまく折り合って、しっかり力を出し切ってくれました」と高く評価した。イギリスのG1勝ち馬を母に持ち、2022年セレクトセールにおいて2億4200万円(消費税込み)で取引された期待馬。ファルコンS勝ち馬の本レース制覇なら、2009年ジョーカプチーノ以来となる。底知れない素質の持ち主が、末脚を武器にGⅠ戴冠を目指す。馬名の由来は「冠名+アメリカの山の名」。
牡3歳
調教師:武井亮(美浦)
JRAでデビューしたきょうだい10頭中9頭が勝ち上がっている堅実な母系の出身。東京スポーツ杯2歳S(1着)を含め、東京は3戦2勝と好相性を誇る。遠征競馬となった近2戦から一変した走りを期待したい。
3番人気だった前走のファルコンS。最後方付近から、直線はインを選択したが進路が開かず、加速する場面なく9着に敗れた。騎乗した北村宏司騎手は「調教から携わらせてもらい、返し馬は落ち着いていました。形をつくっていくのも大事ですし、前半は力を抜いて運べるように。少し力んでいたものの我慢は利いていました。(直線は)進路がなく、脚を余す形になりました」と振り返った。父モーリスはマイルGⅠ・G1を4勝、母ブルーメンブラットはマイルチャンピオンシップを優勝しており、ここは親仔マイルGⅠ制覇の期待がかかる。陣営は抜群の運動神経を強調。全能力を出し切る走りができれば侮れない存在だ。馬名の由来は「独語の花束(Blumenstrauss)より。母名より連想」。
(高木 翔平)
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