メイクデビュー中山（芝2000メートル）は集中力を欠きながらの先行だったが、4コーナーで闘志に火がつくと一気に先頭へ出て、そのまま押し切る快勝だった。見た目の好パフォーマンスに加えて、ラスト2ハロンは12秒1、11秒8という加速ラップ。数字上でも優秀さが明確に窺えた。続く1勝クラス・水仙賞は初戦とは違い、気持ちが入っての先行だったが、早め先頭から押し切る強い競馬を見せて連勝。騎乗した石川裕紀人騎手は「ここでは力が違う内容でした。重賞でどれだけやれるか楽しみです」と、今後へ向けての手応えをつかんでいる様子だった。無敗での重賞制覇に期待がかかる。

新馬戦が驚きの勝利。直線に入るところでもまだ14番手という位置取りだったが、そこから末脚を爆発させた。一気に前に並びかけて、最後は2着馬をハナ差競り落としたところがゴール。出色と言える内容で初陣を飾った。2戦目の1勝クラス・百日草特別は前2頭とは少し離された3着だったが、1分59秒8の時計は2歳戦とすれば優秀。3戦目の1勝クラス・フリージア賞はクビ差の2着と勝利こそ逃したが、クラシックを目指す牡馬相手での連続好走は力の証明と言える。半姉アドマイヤリード（父ステイゴールド）は2017年のヴィクトリアマイルの勝ち馬で、3歳時には桜花賞とオークスに出走。姉に続くクラシック出走を目指す。

デビュー勝ちは着差こそ3/4馬身だったが、余裕十分の差し切り。かなりのスローペースのなか、レースのラスト2ハロン11秒2、11秒3のラップを差し切っての勝利は、そのまま非凡な鋭さの表れと言っていい。しかも当時の3着馬がその後1勝クラス・山藤賞を勝ったことから、レースレベルも高く評価できる。前走の1勝クラス・若竹賞は初戦と同じく出遅れて後方からの競馬を余儀なくされたうえ、不良馬場に脚を取られながらの走りだったが、長くいい脚を使って3着。あらためて脚力の高さを示す結果となった。いいフォームで走るタイプがゆえ、開幕週の良好な馬場コンディションで走れるのは好条件。末脚一閃での重賞奪取があるかもしれない。

ここまで6戦して4着、3着、1着、4着、2着、5着と、掲示板（5着以内）を外したことがない堅実派。しかも芝・ダート、競馬場、距離を問わずの好走で、このあたりは地力があればこそと言えよう。2走前の1勝クラス・デイジー賞（中山・芝1800メートル、２着）は稍重馬場のぶん、逃げた馬を捕らえ切れず。前走のフラワーC（5着）は、差し馬が殺到するペースとなったなかで先行した馬では最先着と、近2戦は明確な敗因がある。未勝利（京都）勝ちが芝2000メートル。逃げるなら開幕週の馬場コンディションも好材料だろう。当然、警戒が必要になる。

2月の未勝利（東京・芝1800メートル）勝ち以来での重賞初挑戦。厳しさも感じるところだが、それでもと思えるのが、その未勝利戦でのパフォーマンスだ。それまでの2戦とは違い、好スタートを決めて2番手から競馬を進めると、直線は残り300メートル付近まで追い出しを待つ余裕。最後は2着以下を突き放しての快勝だった。勝ちタイム1分46秒2も優秀で、3歳戦なら優にオープンクラスで通用するはず。1勝馬が大半という今回のメンバーなら素質は上位とみていいだろう。半兄がホープフルS勝ちのドゥラエレーデ（父ドゥラメンテ）。血統面からも注目できる一頭と言える。

新馬戦は2着だったが、勝ち馬はその後東京スポーツ杯2歳S2着、弥生賞ディープインパクト記念5着のシュバルツクーゲル。相手が強かっただけで、続く2戦目で順当に勝ち上がった。鮮やかに差し切った見た目からして強かったが、1分59秒5の勝ちタイムは、昨年に行われた東京・芝2000メートルの2歳戦で最速。翌週の3勝クラスでも5着に相当するほどの優秀な時計だった。それを思うと前走のフラワーC（6着）が物足りないくらいだが、骨折明けで約4か月ぶり。またブランク以上に当日はイレ込みが目立ち、その影響もあったようだ。諸々の面で上積みが見込める今回、真価発揮なら大きく変わっても不思議はない。

初勝利となったデビュー戦はハナ差の辛勝に加えて時計も平凡だったが、レースの後半4ハロンが加速ラップでの押し切り。見た目の印象以上に中身の濃いものだった。前走のフラワーC（8着）はスタートを含めて色々な面で経験不足が露呈した敗戦。新馬だけのキャリアだけでは厳しかったようだ。出自をたどれば、母プロヴィナージュも使いつつ力をつけて関東オークス（JpnⅡ）2着、秋華賞3着。古馬になってからは阪神牝馬S2着、クイーンS2着、朝日チャレンジC2着と素晴らしい成長力を見せた。本馬も前走の経験を経て大きく変わる余地がありそう。東京コースに戻って見直しが必要だ。

1400メートルで初勝利を挙げたあとは1勝クラスで連続3着に入り、2勝目にメドを立てた。前走のチューリップ賞は直線で窮屈な競馬となり、直線で外へ出すまでにロスがあっての7着。脚を使えたのはもう大勢が決してからで、不完全燃焼と言える敗戦だった。とはいえ、タフな阪神外回りのマイル戦で健闘できたのなら、東京・芝2000メートルでも上位争いできる算段は立ったのではないか。大外一気で突き抜けた初勝利がそうだったように、脚をためる競馬のほうがより持ち前の末脚を生かせる印象もある。諸々の面で未知な部分が多いが、そのぶん魅力も大きい。