2019年優勝のインディチャンプは同年の安田記念でGⅠウイナーの仲間入りを果たし、秋にはマイルチャンピオンシップも制した。また、2023年2着のナミュールも秋にマイルチャンピオンシップでGⅠ初制覇を飾っている。今年のマイルGⅠの行方を占う意味でも見逃せない一戦の特徴を探るべく、過去10年の結果を分析していく。
過去10年の前走別成績を調べると、GⅠ組と3勝クラス組が共に3着内率38.5%をマークしている。GⅠ組の中でも特に好成績を挙げているのが距離を短縮してきた馬で、前走が芝2000メートル以上のGⅠだった馬は〔3・3・1・5〕と過半数が3着以内に好走。一方、3勝クラス組の中では、2勝クラス→3勝クラスと連勝して臨んだ馬が〔4・0・0・1〕で、勝率は驚異の80.0%となっている。〔表1〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 5-3-2-16 | 19.2% | 30.8% | 38.5% |
GⅡ | 0-0-3-12 | 0% | 0% | 20.0% |
GⅢ | 1-3-4-42 | 2.0% | 8.0% | 16.0% |
オープン特別 | 0-3-1-38 | 0% | 7.1% | 9.5% |
3勝クラス | 4-1-0-8 | 30.8% | 38.5% | 38.5% |
海外G1 | 0-0-0-2 | 0% | 0% | 0% |
前走で3勝クラスを勝っていた馬の活躍が目立つ一方で、オープンクラスのレースを勝って臨んだ馬は過去10年で一度も優勝できていない。しかしながら、前走オープンクラス組のうち6着以下に敗れていた馬が実に13頭も馬券に絡み、GⅠ組に限れば2桁着順に敗れていた馬が2勝と、大敗から巻き返した馬もいる。また、2021年に単勝12番人気で2着となったカテドラル(前走リステッド9着)のように、前走で6着以下に敗れていた馬は人気を集めづらいので、配当的な面で妙味がありそうだ。〔表2〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 0-1-2-8 | 0% | 9.1% | 27.3% |
2着 | 1-2-0-8 | 9.1% | 27.3% | 27.3% |
3着 | 0-0-2-8 | 0% | 0% | 20.0% |
4着 | 0-0-1-5 | 0% | 0% | 16.7% |
5着 | 1-1-1-4 | 14.3% | 28.6% | 42.9% |
6着〜9着 | 2-4-3-33 | 4.8% | 14.3% | 21.4% |
10着以下 | 2-1-1-42 | 4.3% | 6.5% | 8.7% |
過去10年の性別成績を見ていくと、牝馬は延べ21頭の出走で4勝を挙げるなど10頭が馬券に絡んでいる。なかでも前走がGⅠだった馬は〔4・2・1・2〕(77.8%)と3着内率が大きく上昇するので、該当馬がいれば注目しておきたい。対照的に、前走がGⅠだった牡・せん馬は〔1・1・1・14〕(3着内率17.6%)と好走率が大きく落ちる。馬券に絡めなかった馬の中には単勝1番人気に支持されていた馬が3頭も含まれているので、GⅠから臨んでくる牡・せん馬は過信禁物といえそうだ。〔表3〕
性別 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡・せん | 6-6-8-107 | 4.7% | 9.4% | 15.7% |
牝 | 4-4-2-11 | 19.0% | 38.1% | 47.6% |
ここ3年は前年以降に芝1600メートルで連勝した経験を持つ馬が勝利を収め、2019年優勝のインディチャンプにもこの経験があった。2018年のリスグラシューと2020年のプリモシーンは前年以降に芝1600メートルで未勝利ながら、同距離のGⅠで2着に入っていた。これらの実績を含め、過去6年の優勝馬はいずれも前年以降の芝1600メートルでの3着内率が60.0%以上となっている。近年は高いマイル実績を持つ馬が優勝する傾向にあるようだ。〔表4〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 前年以降の芝1600mでのGⅠ連対または連勝実績 | 前年以降の芝1600mでの3着内率(出走数) |
---|---|---|---|
2018年 | リスグラシュー | 桜花賞2着 | 100%(2戦) |
2019年 | インディチャンプ | 有松特別(2勝クラス)→元町S(3勝クラス) | 80.0%(5戦) |
2020年 | プリモシーン | ヴィクトリアマイル2着 | 75.0%(4戦) |
2021年 | カラテ | 2勝クラス→若潮S(3勝クラス) | 60.0%(5戦) |
2022年 | イルーシヴパンサー | 1勝クラス→鷹巣山特別(2勝クラス) | 100%(2戦) |
2023年 | ウインカーネリアン | 谷川岳S→米子S→関屋記念 | 60.0%(5戦) |
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