2023年の北九州記念で逃げ切り勝ちを果たしたジャスパークローネは、単勝オッズ13.1倍の5番人気だった。小倉・芝1200メートルで行われるようになった2006年以降の優勝馬18頭中、単勝1番人気だったのは2008年のスリープレスナイトのみで、2番人気から4番人気だった馬も2頭しかいない。ハンデキャップ競走らしい波乱含みの一戦と言えそうだ。今年は開催日程の変更に伴いサマースプリントシリーズの第2戦として6月末の開催となるが、過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の前走の着順別成績を見ると、前走で3着以内だった馬は3着内率が32.3%に達している。一方、8着以下だった馬は3着内率4.5%と苦戦している。直近のレースで3着以内に入っていた馬は高く評価したい。〔表1〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 6-9-5-42 | 9.7% | 24.2% | 32.3% |
4〜7着 | 3-0-4-38 | 6.7% | 6.7% | 15.6% |
8着以下 | 1-1-1-63 | 1.5% | 3.0% | 4.5% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中18頭は牝馬だった。一方、牡・せん馬は3着内率12.5%とやや苦戦している。どちらかと言えば牝馬が強いレースだ。〔表2〕
性 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡・せん | 4-4-4-84 | 4.2% | 8.3% | 12.5% |
牝 | 6-6-6-59 | 7.8% | 15.6% | 23.4% |
なお、牡・せん馬のうち、前走の着順が4着以下だった馬は、3着内率が4.5%にとどまっている。さらに、2018年以降の過去6年に限ると〔0・0・0・38〕(3着内率0%)である。前走で3着以内に入っていなかった牡馬およびせん馬は、ここでも3着以内に入る可能性が低いとみるべきだろう。〔表3〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 4-3-2-20 | 13.8% | 24.1% | 31.0% |
4着以下 | 0-1-2-64 | 0% | 1.5% | 4.5% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、通算出走数が22戦以内だった。一方、23戦以上だった馬は3着内率7.6%と苦戦している。キャリア22戦以内の馬に注目したい。〔表4〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
22戦以内 | 7-10-7-70 | 7.4% | 18.1% | 25.5% |
23戦以上 | 3-0-3-73 | 3.8% | 3.8% | 7.6% |
なお、通算出走数が23戦以上だった馬のうち、前年以降のJRAの重賞において1着となった経験がなかった馬は、3着内率が4.4%にとどまっている。さらに、2018年以降の過去6年に限ると〔0・0・0・35〕(3着内率0%)である。前年以降に重賞を勝っていないキャリア23戦以上の馬は、割り引きが必要だ。〔表5〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 2-0-1-8 | 18.2% | 18.2% | 27.3% |
なし | 1-0-2-65 | 1.5% | 1.5% | 4.4% |
過去6年の3着以内馬延べ18頭中13頭は、同年のJRAの出走頭数が12頭以上だったオープンクラスのレースにおいて2着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率7.7%と苦戦しているので、疑ってかかるべきだろう。〔表6〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 3-6-4-29 | 7.1% | 21.4% | 31.0% |
なし | 3-0-2-60 | 4.6% | 4.6% | 7.7% |
なお、同年のJRAの出走頭数が12頭以上だったオープンクラスのレースにおいて2着以内に入った経験がなかったにもかかわらず、3着以内に入った5頭のうち3頭は、前年以降に小倉・芝1200メートルで行われた出走頭数が15頭以上のオープンクラスのレースにおいて4着以内に入った経験がある馬だった。年明け以降に12頭以上の重賞やオープン特別で連対を果たしていなくても、小倉・芝1200メートルのレースに十分な実績がある馬は、マークしておくべきかもしれない。〔表7〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-0-2-10 | 7.7% | 7.7% | 23.1% |
なし | 2-0-0-50 | 3.8% | 3.8% | 3.8% |
過去10年の優勝馬10頭は、いずれも前走の着順が1着、もしくは2着以下に敗れていても1着馬とのタイム差が0.7秒以内だった。また、この10頭は前走との間隔が中6週以内だった点も共通している。例年と開催時期が違うとはいえ、大敗直後の馬やレース間隔が空いている馬は、扱いに注意した方がよさそうだ。〔表8〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 前走の着順 | 前走の1着馬とのタイム差 | 前走との間隔 |
---|---|---|---|---|
2014年 | リトルゲルダ | 4着 | 0.2秒 | 中2週 |
2015年 | ベルカント | 1着 | - | 中2週 |
2016年 | バクシンテイオー | 3着 | 0.1秒 | 中4週 |
2017年 | ダイアナヘイロー | 1着 | - | 中2週 |
2018年 | アレスバローズ | 1着 | - | 中6週 |
2019年 | ダイメイプリンセス | 6着 | 0.4秒 | 中2週 |
2020年 | レッドアンシェル | 3着 | 0.6秒 | 中6週 |
2021年 | ヨカヨカ | 5着 | 0.4秒 | 中6週 |
2022年 | ボンボヤージ | 13着 | 0.7秒 | 中4週 |
2023年 | ジャスパークローネ | 1着 | - | 中6週 |
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