桜花賞は牝馬三冠の第一関門で、2018年のアーモンドアイ、2020年のデアリングタクト、2023年のリバティアイランドと、ここ6年の優勝馬のうち3頭が二冠目のオークスと三冠目の秋華賞も制して三冠牝馬の栄誉に浴している。他にもマイル以下でGⅠ・6勝を挙げたグランアレグリアが2019年の覇者として名を連ねるなど、近年の優勝馬はそうそうたる顔ぶれとなっている。過去10年の結果を分析し、好走馬に共通するポイントを探っていく。
過去10年の前走別成績でまず目を引くのが、2歳GⅠから直行してきた馬の好走率の高さ。阪神ジュベナイルフィリーズ組と朝日杯フューチュリティS組を合わせても11頭と、全出走馬の1割にも満たないなか、2019年のグランアレグリア、2021年のソダシ、2023年のリバティアイランドが優勝している。この3頭を含め、2018年のアーモンドアイ以降はトライアルを使われなかった馬が6連勝中。3着以内馬の頭数が一番多いチューリップ賞組はその間、2着が5回あったものの勝利が遠くなっている。馬単や3連単を買う際にはこの傾向に注意したい。〔表1〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
阪神JF | 2-2-0-5 | 22.2% | 44.4% | 44.4% |
朝日杯FS | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
チューリップ賞 | 3-8-6-30 | 6.4% | 23.4% | 36.2% |
フィリーズレビュー | 1-0-2-43 | 2.2% | 2.2% | 6.5% |
クイーンC | 1-0-1-18 | 5.0% | 5.0% | 10.0% |
シンザン記念 | 1-0-0-2 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
エルフィンS | 1-0-0-3 | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
上記以外 | 0-0-1-46 | 0% | 0% | 2.1% |
GⅠからの直行で優勝したグランアレグリア、ソダシ、リバティアイランドはいずれも上位人気の支持に応えての勝利で、2番人気以内に推された前走GⅠ組は〔3・2・0・0〕と、信頼度がさらに上がる。下位人気馬に目を向けると、6番人気から9番人気だった馬も10頭が馬券に絡み、こちらは前走がチューリップ賞またはフィリーズレビューだった馬が〔1・3・4・12〕(3着内率40.0%)と活躍。2桁人気の馬が馬券に絡んだことはないため、穴馬はこのあたりが狙い目となりそうだ。〔表2〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 2-3-1-4 | 20.0% | 50.0% | 60.0% |
2番人気 | 4-2-0-4 | 40.0% | 60.0% | 60.0% |
3番人気 | 1-2-2-5 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
4番人気 | 0-0-0-10 | 0% | 0% | 0% |
5番人気 | 1-0-2-7 | 10.0% | 10.0% | 30.0% |
6〜9番人気 | 2-3-5-30 | 5.0% | 12.5% | 25.0% |
10番人気以下 | 0-0-0-88 | 0% | 0% | 0% |
前走の単勝人気についても調べてみると、過去10年の優勝馬は全て前走で3番人気以内に推されていた。中でも、前走がJRA重賞で1番人気だった馬が〔8・3・4・16〕と高い勝率(25.8%)を誇っている。〔表3〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3番人気以内 | 10-7-7-76 | 10.0% | 17.0% | 24.0% |
4番人気以下 | 0-3-3-72 | 0% | 3.8% | 7.7% |
また、2015年のレッツゴードンキ以外の優勝馬は前走のみならず、これまでに出走した全てのレースで単勝3番人気以内に推されていた。当レースまでに4番人気以下になったことがない馬は3着内率も35.8%と高く、当レースでも3番人気以内に支持された場合、〔7・4・3・8〕と3着内率は63.6%まで跳ね上がる。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-5-5-114 | 0.8% | 4.8% | 8.8% |
なし | 9-5-5-34 | 17.0% | 26.4% | 35.8% |
過去10年の3着以内馬30頭中27頭には、芝1600メートルでの重賞で3着以内、もしくはオープン特別勝利歴があった。この実績がない馬は3着が精いっぱいで、3着内率も4.1%と苦戦する確率が高くなっている。この実績を持つ馬のなかでも特に注目したいのが、桜花賞と同じ阪神・芝1600メートルの重賞で3着以内に入っていた馬。該当馬は〔7・9・5・25〕と3着内率45.7%をマークしている。〔表5〕
実績の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-10-7-77 | 9.6% | 19.2% | 26.0% |
なし | 0-0-3-71 | 0% | 0% | 4.1% |
〔表1〕から、前走も芝1600メートルだった馬が中心となっていることが分かる。芝1600メートル以外のレースから臨んだ馬は2017年のレーヌミノルの1勝にとどまっている。また、過去10年の優勝馬で通算出走回数が6回以上だったのも、4着以下に敗れた経験があったのも同馬だけ。すなわち、“通算出走回数が5回以下で4着以下に敗れたことがなく、前走も芝1600メートルのレースに出走していた馬”が優勝に近い存在と言えそうだ。〔表6〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 前走の距離 | 通算出走回数 | 4着以下の有無 |
---|---|---|---|---|
2014年 | ハープスター | 芝1600m | 4回 | なし |
2015年 | レッツゴードンキ | 芝1600m | 5回 | なし |
2016年 | ジュエラー | 芝1600m | 3回 | なし |
2017年 | レーヌミノル | 芝1400m | 6回 | あり |
2018年 | アーモンドアイ | 芝1600m | 3回 | なし |
2019年 | グランアレグリア | 芝1600m | 3回 | なし |
2020年 | デアリングタクト | 芝1600m | 2回 | なし |
2021年 | ソダシ | 芝1600m | 4回 | なし |
2022年 | スターズオンアース | 芝1600m | 5回 | なし |
2023年 | リバティアイランド | 芝1600m | 3回 | なし |
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