ハイランドリールが2015年に続く2度目のVで有終の美を飾る

芝2400mで争われた第24回香港ヴァーズ（G1）は、ライアン・ムーア騎手騎乗のハイランドリール（牡5歳、アイルランド、エイダン・オブライエン厩舎）が直線の入り口で先頭に立つと、後続を振り切って優勝。2015年に続く2度目のVで、自身の通算7度目のG1制覇を飾った。良馬場の勝ち時計は2分26秒23。

• 

  タリスマニックを突き放すハイランドリール

• 

  ラストランを勝利で締めくくった

確たる逃げ馬が不在だったレースはヘレンカリズマがペースを作り、その後に、共にブリーダーズカップターフ（G1）からの転戦で有力視されていたハイランドリールとタリスマニックが続く展開。前半800mの通過ラップが49秒98という流れの中、日本から参戦したトーセンバジル（牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎）は前を見るように中団の位置に構え、今年の菊花賞馬キセキ（牡3歳、栗東・角居勝彦厩舎）はスタートで出遅れると、12頭立ての最後方からレースを運んだ。

直線では、早め先頭から粘り込みを図るハイランドリールに残り200mでタリスマニックが馬体を並びかけるも、ハイランドリールがそこから持ち前の勝負強い二枚腰を発揮。2年連続で連対（1着、2着）していた得意のシャティンで、ゴールではタリスマニック（2着）に1馬身3/4差をつけて栄冠を手にした。

来春の種牡馬入りを控えて、キャリア通算27戦目となる今回が引退レースとなったハイランドリール。2017年は、春シーズンにイギリスでコロネーションカップ（G1）、プリンスオブウェールズS（G1）を連勝。その後はいずれもG1に出走し、4着、3着、3着と勝ち星から遠ざかっていたが、見事に有終の美を飾った。

鞍上のムーア騎手は、「エンジンがかかれば最後まで必ずファイトをしてくれる馬。今日は得意の形に持ち込むことができて強い内容でした」と笑顔でコメント。2014年6月のデビュー戦から3年半共に歩んできたオブライエン調教師は、「2歳から重賞で活躍して、南半球のオーストラリアも含めて世界中を飛び回り頑張ってくれました。ラストランを飾れてトレーナーとして感慨深いですし、彼はきっと素晴らしい種牡馬になると思います」と語り、愛馬へ惜別の言葉を送った。

• 

  ファンの声援に応えるムーア騎手

• 

  オブライエン調教師（前列右から3人目）は、
  自身の持つ年間平地G1世界最多勝記録を更新（G1・28勝目）

ハイランドリールは、父ガリレオ、母ヘーゲル、母の父デインヒルという血統のアイルランド産馬で、先日行われたジャパンカップに参戦したアイダホの全兄にあたる。通算成績は27戦10勝。通算獲得賞金751万3355ポンド（日本円で約10億8200万円、1ポンド＝144円で換算）は、欧州調教馬としての歴代最高額である。欧州競馬史にその名を刻んだ鹿毛の名馬は、アイルランドのクールモアスタッドで種牡馬となる。

日本勢は、ヨーロッパにおける芝2400m路線のトップグループにいる2頭を相手に、トーセンバジルが勝ち馬から2馬身半差の3着と健闘。3年ぶりに日本馬の優勝がなかった今年の香港国際競走だが、出走8頭の中では香港カップ（G1）のネオリアリズムに並ぶ最高着順を、価値ある走りでマークした。一方のキセキは、勝負どころから外を回りポジションを押し上げる見せ場こそ作ったものの、最後は伸び切れず後退して9着に終わっている。

文：沢田　康文

3着 トーセンバジル 藤原英昭調教師のコメント
「モレイラ騎手は完璧に乗ってくれました。前の2頭は世界で1・2位と言われる馬なので、この結果には自信が持てます。初めての輸送で精神面を心配していましたが、クリアできて良かったですし、馬に感謝したいと思います。また、このレースに使うことを決断したオーナーにも感謝したいと思います」

3着 トーセンバジル J.モレイラ騎手のコメント
「良く走ってくれました。パーフェクトなレースです。4コーナーでもう少しチャレンジしたかったですが、1・2着馬が強かったです。それでも、今日は素晴らしい走りを見せてくれました」

9着 キセキ 角居勝彦調教師のコメント
「レース後まだデムーロ騎手と話ができていないのではっきりとした敗因は分かりませんが、見えない疲れがあったのかもしれません」

9着 キセキ M.デムーロ騎手のコメント
「スタートが速くなく、ペースが遅かったので、もう少し前へ行きたかったです。3−4コーナーで良い位置に行けたと思いましたが、直線ではファイトがなくて、自分で止まってしまいました」

• 

  トーセンバジル（J.モレイラ騎手）

• 

  キセキ（M.デムーロ騎手）

	2017年12月10日（日） シャティン競馬場（香港）

4R	第24回 香港ヴァーズ（G1）

３歳以上　定量			2400m　芝・右
賞金総額	：	18,000,000香港ドル	発走　 14:00 （現地時間）
１着賞金	：	10,260,000香港ドル	芝：良

着順	馬番 (ゲート)	馬 名　（生産国）	性 齢	負 担 重 量	騎手	タイム ・ 着差	馬 体 重 (kg)	調教師　（調教国）	単 勝 人 気
1	1　(08)	ハイランドリール(IRE)	牡5	57.0	Ｒ．ムーア	2:26.23	490	Ａ．オブライエン(IRE)	1
2	2　(01)	タリスマニック(GB)	牡4	57.0	Ｍ．ギュイヨン	1 3/4	501	Ａ．ファーブル(FR)	3
3	8　(07)	トーセンバジル(JPN)	牡5	57.0	Ｊ．モレイラ	2 1/2	484	藤原　英昭(JPN)	4
4	4　(04)	ケミカルチャージ(IRE)	牡5	57.0	Ｏ．マーフィー	2 3/4	472	Ｒ．ベケット(GB)	10
5	9　(12)	ゴールドマウント(GB)	せん4	57.0	Ｚ．パートン	3 1/2	448	Ａ．クルーズ(HK)	6
6	7　(02)	マックスダイナマイト(FR)	せん7	57.0	Ｇ．スコフィールド	3 3/4	453	Ｗ．マリンズ(IRE)	8
7	11　(11)	スマートコール(SAF)	牝6	55.5	Ｊ．クローリー	6 3/4	501	Ｍ．スタウト(GB)	12
8	6　(05)	イーグルウェイ(AUS)	せん5	57.0	Ｔ．ベリー	8 3/4	483	Ｊ．ムーア(HK)	7
9	12　(03)	キセキ(JPN)	牡3	55.0	Ｍ．デムーロ	9 1/2	491	角居　勝彦(JPN)	2
10	5　(10)	デインヒルコディアック(IRE)	牡4	57.0	Ｓ．レヴィー	11 1/2	486	Ｒ．ハノン(GB)	11
11	3　(09)	ティベリアン(FR)	牡5	57.0	Ｏ．ペリエ	12 3/4	504	Ａ．クエティル(FR)	5
12	10　(06)	ヘレンカリズマ(FR)	牡4	57.0	Ｓ．クリッパートン	21 1/4	494	Ｊ．ムーア(HK)	9

単勝	1	250円	1番人気	馬連	1-2	420円	1番人気	馬単	1-2	810円	2番人気
複勝	1 2 8	110円 140円 150円	1番人気 3番人気 4番人気	ワイド	1-2 1-8 2-8	210円 320円 440円	1番人気 3番人気 6番人気	３連複	1-2-8	970円	3番人気
								３連単	1-2-8	3,710円	8番人気

香港ジョッキークラブの結果ページ（外部サイトに接続されます）