ヴィクトリアマイル（GⅠ）ではグランアレグリアが単勝オッズ1.3倍の断然人気に推された。昨年、安田記念、スプリンターズS、マイルチャンピオンシップとGⅠ3連勝をマーク。アーモンドアイ、インディチャンプ、ノームコア、ダノンスマッシュ、アドマイヤマーズといった一流馬を破り、JRA賞最優秀短距離馬にも輝いた。前走・大阪杯では4着に敗れていたが、得意のマイルに戻れば負けられないところだ。

そしてグランアレグリアは、すさまじい末脚で期待に応える。

「中団の外に出せて、そのポジションも馬のリズムも良かった」とグランアレグリアの鞍上クリストフ・ルメール騎手は道中を振り返る。600メートル通過34秒3、1000メートル通過は57秒6とラップは速かったが、余裕たっぷりの追走だ。

直線では、好位でレースを進めた2番人気レシステンシアが前にいるクリスティとスマイルカナを交わして先頭に立つ。が、それも長くは続かなかった。

「素晴らしい手応え。自分からハミを取ってギアアップしてくれた」と、ルメール騎手に促されるまでもなく、大外を鮮やかに伸びるグランアレグリア。坂を駆け上がりながら突き抜けると、2馬身、3馬身と、瞬く間に後続との差を広げていく。結局、ランブリングアレーやマジックキャッスルらによる熾烈な2着争いを4馬身後方に見て、グランアレグリアは悠々と先頭ゴールを果たすのだった。

まるで「この馬が一番」とばかりに、何度も人差し指を掲げるルメール騎手。「やっぱり強かった。レベルが違う」との言葉に納得するほかない圧勝だ。これでGⅠは5勝目。だがルメール騎手は「まだ勝てる」と胸を張る。

今年もまたグランアレグリアは、短距離路線の絶対的主役として、さらにタイトルを積み重ねていきそうである。

（谷川　善久）