スプリンターズS連覇のレッドファルクスとスプリントGⅠ・2勝馬ファインニードルが相次いで引退。高松宮記念（GⅠ）には、新スピード王の座を目指す18頭が集結した。中でも注目を集めたのが、1番人気から3番人気に推された4歳勢だ。

ダッシュよく飛び出したセイウンコウセイ、これに競りかけていくラブカンプーを、外から交わしてハナに立ったのは2番人気のモズスーパーフレア。カーバンクルS、オーシャンSと逃げて連勝中の快速馬だ。直後に続くのはダノンスマッシュ。こちらも京阪杯、シルクロードSと連勝、1番人気を背負って好位を進む。その内には3番人気ミスターメロディ。中京競馬場ではファルコンSで1着。それ以来約1年ぶりとなる勝利を大一番で挙げようと、虎視眈々と機会をうかがっている。

やがて直線。後ろを引き離せないモズスーパーフレア、外から伸び切れないダノンスマッシュとは対照的に、ミスターメロディは力強い脚さばきを見せた。鞍上の福永祐一騎手が「内を突くつもりだった。いいタイミングでスペースも生まれた」と振り返った通り、目の前にいるモズスーパーフレアとセイウンコウセイの間を割るようにスパート、坂を一気に駆け上がると残り100メートルで先頭へと躍り出る。「やりたい競馬ができた。芝1200メートル戦は初めてだったが、いきなり対応できるのだからセンスのある馬」との言葉が示すように、戸惑いもロスも苦しむところも見せず、ミスターメロディはそのままゴールへ。2着に12番人気セイウンコウセイ、3着に内から追い込んだ17番人気ショウナンアンセムが入り、3連単449万馬券となった波乱の一戦を、堂々のレースぶりで制してみせたのである。

昨秋のGⅠ戦線ではステルヴィオ、アーモンドアイ、ルヴァンスレーヴ、ブラストワンピースら3歳勢が大活躍。明けて4歳となっても、その勢いは続く。ミスターメロディは今後も、“最強世代”の存在感をスプリント戦線で発揮してくれることだろう。

（谷川　善久）