阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、オークス、3つのGⅠを圧巻の末脚で制し、絶対女王として君臨するリバティアイランドが、秋華賞（GⅠ）に姿を現した。単勝オッズは1.1倍。GⅠ4連勝と牝馬三冠の達成を疑う者は、ほとんどいなかったといえる。

実際にレースは、ただただリバティアイランドの強さだけが印象に残るものとなった。

桜花賞2着のコナコーストが隊列を先導し、オークス2着のハーパーは先行勢を見ながら、クイーンSで古馬を倒したドゥーラは中団からの競馬。ローズSをレコードで勝利したマスクトディーヴァ、紫苑S1着のモリアーナ、同2着のヒップホップソウルらが続く。

1000メートル通過61秒9と緩やかな流れの中で、リバティアイランドと川田将雅騎手は実に落ち着き払っていた。6、7番手の外、不利のないポジションを難なくキープ。3コーナーで早くも「いい形で進路を作れた。この段階で負けることはないと思った」と自信を深め、進出を開始する。直線入口では、もう先頭だ。

まさに「自分の能力さえ発揮すれば圧倒的なパフォーマンスができる馬」という鞍上の言葉を具現化するような走り。一矢報いようと女王に挑む17頭を力ずくで突き放す。最後にマスクトディーヴァが追い込んできたものの、これを1馬身差で完封し、リバティアイランドは堂々と先頭ゴールを果たしたのだった。

「1つの区切りである三冠に無事たどり着けた」と川田騎手。そう、これは区切りに過ぎない。世代ナンバー1であることをあらためて示し、史上7頭目となる牝馬三冠も成し遂げたリバティアイランドには、今後、古馬をなぎ倒し、牡馬を蹴散らし、あるいは世界を屈服させ、歴史的名牝としてさらに輝くための戦いが待ち受けているはずである。

（谷川　善久）