2020年 重賞レース一覧秋華賞
新馬、エルフィンS、桜花賞、そしてオークスと、デアリングタクトは負け知らずのまま突っ走ってきた。秋華賞(GⅠ)で狙うのは史上初となる“無敗での牝馬三冠”、背負うのは単勝オッズ1.4倍の断然人気。手綱を握る松山弘平騎手は「正直プレッシャーはあった」と言う。だが、このコンビは堂々と重圧をはねのけてみせる。
紫苑Sを制したマルターズディオサが逃げ、好位を占めるのはオークス2着のウインマリリン、クイーンC勝ち馬ミヤマザクラ、ローズS快勝のリアアメリアら。シンザン記念で牡馬を下したサンクテュエールが続き、中団には阪神ジュベナイルフィリーズ3着のクラヴァシュドール、オークス3着のウインマイティーなどが構える。
デアリングタクトはこれらライバルたちより後ろの位置となったが、松山騎手は「ゲートを上手に出てくれたし、ポジションは思った通り。折り合いもついて流れに乗れた」と落ち着いて追走する。ただし、いつまでもそこでおとなしくはしていない。3コーナーからは馬群の外を徐々に進出。4コーナーの終わりには、早くも先行勢に並びかけるところまで押し上げる。松山騎手いわく「自分の馬が一番強いと信じていた。最後はいいところを走らせようと思った」と、これまで見せたことのない策を敢行したのだ。
直線、馬場の真ん中をデアリングタクトは力強く駆ける。内からは馬群をさばいて抜け出してきたマジックキャッスル、外からはソフトフルートとパラスアテナが迫ろうとするも、これらの2着争いを1馬身4分の1後方に従えての先頭ゴール。17頭をねじ伏せる走りで、デアリングタクトは誰も成し遂げたことのない大偉業を完遂したのである。
松山騎手は「ホッとした」と胸をなでおろす。だが、デアリングタクトの物語はここで終わるわけではない。アーモンドアイ、グランアレグリア、クロノジェネシス、ラッキーライラックなど、上の世代の牝馬には強豪がひしめく。それらを打ち負かして真の女王の座に就くことが、新たなミッションだ。そしてデアリングタクトは、この難題もクリアするだけのポテンシャルを持っているはずである。
(谷川 善久)
着順 | 枠 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 負担重量 | 騎手 | タイム | 着差 | コーナー通過順位 | 推定上り | 馬体重(増減) | 調教師 | 単勝人気 |
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1 | 13 | デアリングタクト | 牝3 | 55.0 | 松山 弘平 | 2:00.6 |
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35.8 | 480(+14) | 杉山 晴紀 | 1 | ||
2 | 12 | マジックキャッスル | 牝3 | 55.0 | 大野 拓弥 | 2:00.8 | 1 1/4 |
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35.8 | 432(+10) | 国枝 栄 | 10 | |
3 | 8 | ソフトフルート | 牝3 | 55.0 | 藤岡 康太 | 2:00.9 | 3/4 |
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35.7 | 470(0) | 松田 国英 | 9 | |
4 | 16 | パラスアテナ | 牝3 | 55.0 | 坂井 瑠星 | 2:00.9 | ハナ |
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35.8 | 444(-8) | 高柳 瑞樹 | 12 | |
5 | 15 | ミスニューヨーク | 牝3 | 55.0 | 長岡 禎仁 | 2:01.5 | 3 1/2 |
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36.7 | 462(+2) | 杉山 晴紀 | 16 | |
6 | 14 | オーマイダーリン | 牝3 | 55.0 | 幸 英明 | 2:01.5 | ハナ |
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36.6 | 472(+6) | 河内 洋 | 14 | |
7 | 3 | マルターズディオサ | 牝3 | 55.0 | 田辺 裕信 | 2:01.6 | クビ |
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37.4 | 446(0) | 手塚 貴久 | 4 | |
8 | 7 | ムジカ | 牝3 | 55.0 | 秋山 真一郎 | 2:01.7 | 1/2 |
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36.7 | 444(+4) | 鈴木 孝志 | 11 | |
9 | 5 | ウインマイティー | 牝3 | 55.0 | 和田 竜二 | 2:01.9 | 1 1/2 |
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37.1 | 480(+10) | 五十嵐 忠男 | 3 | |
10 | 11 | フィオリキアリ | 牝3 | 55.0 | 北村 友一 | 2:02.1 | 1 1/4 |
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37.5 | 442(+2) | 清水 久詞 | 15 | |
11 | 18 | アブレイズ | 牝3 | 55.0 | 藤井 勘一郎 | 2:02.2 | 1/2 |
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37.2 | 494(-2) | 池江 泰寿 | 17 | |
12 | 6 | ダンツエリーゼ | 牝3 | 55.0 | 太宰 啓介 | 2:02.2 | クビ |
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37.0 | 526(+6) | 本田 優 | 18 | |
13 | 2 | リアアメリア | 牝3 | 55.0 | 川田 将雅 | 2:02.4 | 1 1/4 |
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37.8 | 484(-4) | 中内田 充正 | 2 | |
14 | 1 | ミヤマザクラ | 牝3 | 55.0 | 福永 祐一 | 2:02.9 | 3 |
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38.4 | 488(+20) | 藤原 英昭 | 6 | |
15 | 17 | ウインマリリン | 牝3 | 55.0 | 横山 武史 | 2:03.1 | 1 1/2 |
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38.7 | 464(+12) | 手塚 貴久 | 5 | |
16 | 9 | サンクテュエール | 牝3 | 55.0 | C.ルメール | 2:03.2 | クビ |
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38.6 | 456(-2) | 藤沢 和雄 | 8 | |
17 | 10 | クラヴァシュドール | 牝3 | 55.0 | M.デムーロ | 2:03.8 | 3 1/2 |
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39.0 | 460(+2) | 中内田 充正 | 7 | |
18 | 4 | ホウオウピースフル | 牝3 | 55.0 | 池添 謙一 | 2:04.8 | 6 |
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40.4 | 484(-4) | 大竹 正博 | 13 |
ハロンタイム | 12.3 - 10.8 - 11.8 - 12.2 - 12.3 - 12.7 - 12.1 - 12.4 - 11.9 - 12.1 |
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上り | 4F 48.5 - 3F 36.4 |
1コーナー | 3,4(1,17)2,11(9,15)-(10,18)(5,12)13,7(6,16)14-8 |
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2コーナー | 3(4,17)1,2(9,11)15-(10,18)(5,12)(7,13)(6,16)14-8 |
3コーナー | 3(4,17)1(9,11,2)(10,15,13)(5,18,12,14)(7,16)6,8 |
4コーナー | (*3,17)(1,2)(10,4,11,5,13,14,16)8(9,12)(15,7)(6,18) |
勝馬 | デアリングタクト [牝3・青鹿毛] 父:エピファネイア 母:デアリングバード |
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馬主 | 株式会社ノルマンディーサラブレッドレーシング |
生産地 | 北海道沙流郡日高町 |
生産牧場 | 長谷川牧場 |
戦績 | 5戦5勝 |
獲得賞金 | 397,713,000円 |
主な勝鞍 | 重賞3勝目 2020年 桜花賞(GⅠ) 2020年 オークス(GⅠ) |
騎手 | 松山 弘平:初勝利 |
調教師 | 杉山 晴紀:初勝利 |