重馬場で迎えた皐月賞（GⅠ）。逃げ馬からは粘りを、差し馬からは切れ味を奪うような芝コンディションで、18頭が激突した。

グラニットの先導で進んだレース。スプリングS1着のベラジオオペラと同2着のホウオウビスケッツ、共同通信杯2着のタッチウッド、弥生賞を押し切ったタスティエーラらが先行し、きさらぎ賞を制したフリームファクシ、1番人気に推された共同通信杯勝ち馬ファントムシーフ、すみれS差し切りのシャザーンなどは中団に構えている。

2番人気ソールオリエンスは、ホープフルS2着馬トップナイフらと後方からの追走。鞍上の横山武史騎手いわく、「特殊な馬場なのでポジションを取りたかったが、行き脚がつかなかった。すぐに切り替えて、この馬のリズムで進めることにした」と勝負所を待つ。

1000メートル通過は58秒5。大逆転の予兆を感じさせる速い流れが、「この馬の強さは知っている。状態は言うことなし。自信があった」という横山騎手の思いを現実のものとする。

直線では内から外まで大きく広がっての追い比べ。力強く抜け出してきたのはタスティエーラで、スプリングS3着馬メタルスピードや若葉Sを勝ったショウナンバシットを振り切って敢然とゴールを目指す。

そこへ猛烈な勢いで飛んできたのが、4コーナーから直線で大外に持ち出されたソールオリエンスだ。みるみる前の馬たちを交わし去り、最後はタスティエーラも差し切って、さらに1馬身4分の1突き放してのゴール。過酷な馬場をものともせず「本当に気持ちよかった」という直線一気を決めた横山騎手は、渾身のガッツポーズを何度も見せるのだった。

これで新馬、京成杯、皐月賞と3連勝。無敗のまま第一冠を手にしたソールオリエンスが第二冠でも豪脚を披露するのか。日本ダービーを期待とともに待ちたい。

（谷川　善久）