ドウデュースやリバティアイランドといった実績馬はドバイへ渡り、金鯱賞圧勝のプログノーシスは香港を、同2着の菊花賞馬ドゥレッツァは天皇賞（春）を視野に入れて不在。だがこの大阪杯（GⅠ）にも春の中距離頂上決戦にふさわしい面々が各世代から集まった。

一昨年の秋華賞馬スタニングローズがハナを切ると、4歳馬ベラジオオペラも押して2番手へ。鞍上の横山和生騎手が「馬場の様子を見て、ある程度は前めの位置が欲しいと思った」と振り返る、狙い通りの先行策だ。

同世代の日本ダービー馬タスティエーラ、復権を目指す一昨年の皐月賞馬ジオグリフらが好位を占め、牝馬GⅠでの善戦が光るハーパー、京都記念勝ち馬プラダリアらが続く。産経賞オールカマーでタイトルホルダーを破ったローシャムパークや昨年の皐月賞馬ソールオリエンスが向こう正面でポジションを上げていったのに対し、大阪城Sで久々の勝利を飾ったステラヴェローチェ、エリザベス女王杯2着のルージュエヴァイユ、3連勝中のミッキーゴージャスらは中団から後方で脚をためている。

3コーナーから4コーナー。迫るローシャムパークに合わせてベラジオオペラもピッチを上げ、戦いは直線の攻防へと移行する。粘るスタニングローズを交わすベラジオオペラとローシャムパーク。内を突いてルージュエヴァイユ、外からはステラヴェローチェも脚を伸ばしてくる。この追い比べを「早めに動かす形で苦しかったはずだが、もうひと踏ん張りしてくれた」という底力で制したのがベラジオオペラだった。

新馬、セントポーリア賞、スプリングSと3連勝を飾ったものの、皐月賞は10着、日本ダービーは僅差4着、体調が整わず菊花賞は不出走と悔しさを味わった昨年のベラジオオペラ。しかし復帰初戦のチャレンジCを勝利すると、京都記念でも2着に好走し、そしてGⅠ制覇へと上り詰めた。期待された素質馬が、積極的な走りで流れを取り戻し、あらためてその実力を知らしめた、そんな一戦だったといえるだろう。

（谷川　善久）