力強く差し切った阪神ジュベナイルフィリーズ、桁違いの末脚を炸裂させた桜花賞と、いずれも1番人気を背負って連勝中のリバティアイランド。オークス（GⅠ）でも当然のように1番人気、単勝オッズ1.4倍という断然の支持を集めることとなった。

レースでは、シンザン記念勝ち馬で桜花賞8着のライトクオンタムが先手を奪い、1000メートル通過60秒0のペースを淡々と刻んでいく。アルテミスSでリバティアイランドを破っているラヴェルや、フローラS逃げ切りのゴールデンハインドも前めの位置。阪神ジュベナイルフィリーズ2着のシンリョクカ、桜花賞3着馬ペリファーニアと4着馬ハーパー、フローラS2着のソーダズリングらは中団に控え、その後ろに桜花賞2着のコナコースト、同6着のドゥアイズは最後方を駆ける。

リバティアイランドは6、7番手の内。「いつもよりテンションが上がり気味。少し力んでいる」と感じ取った川田将雅騎手は、パートナーが燃えすぎることのないよう、十分にケアしながらの追走を心がけたという。4コーナーから直線にかけても、焦らず、ゆっくりと馬場の真ん中へ。すると、眼前にゴールまでの道が開けた。

徐々に加速したリバティアイランドは、坂の頂上あたりでエンジン全開。先に抜け出していたラヴェルを残り200メートルで捉えると、さらにスピードを上げる。最後は、粘るラヴェル、しぶとく伸びるハーパー、追い込む札幌2歳S勝ち馬ドゥーラらの2着争いを、6馬身も後方に見て悠々のゴール。圧巻の走りでGⅠ3連勝&牝馬クラシック二冠を達成したのである。

「この馬らしい競馬ができた」と語った川田騎手は、さらに「これからもこの馬の走りを楽しみに待っていて欲しい」と続ける。そこにみなぎる、絶対の自信。秋は三冠を狙うのか、あるいは別の目標に挑むのか。いずれにせよ、リバティアイランドが歩んでいくであろう“歴史的名牝への道のり”から、目を離すわけにはいかないだろう。

（谷川　善久）