GⅠの高い壁に幾度も挑み、そのたび涙をのんできたソウルラッシュ。3年連続3度目の出走となったマイルチャンピオンシップ（GⅠ）で、ようやくの悲願達成だ。

バルサムノートがジワリとハナに立ち、緩みのないペースを作り出す。スプリンターズS2着のあるウインマーベルらが好位につけ、毎日王冠3着から臨むエルトンバローズは先団を見る位置。中団では連覇を目指すナミュール、マイル路線に矛先を向けた昨年のエリザベス女王杯勝ち馬ブレイディヴェーグ、一昨年の覇者セリフォスが脚をため、欧州でのこの路線の強豪チャリン、富士Sを差し切ったジュンブロッサムは後方待機策を取った。

ソウルラッシュは中団馬群の中。鞍上の団野大成騎手は「思ったよりポジションを取れなかったけれど、有力馬が周りにいたので焦らず乗った」と振り返る。その落ち着きが手綱越しに伝わったか、ソウルラッシュは4コーナーから余裕たっぷりに前との差を詰めていく。「手応えが良かったので馬の行くままに任せた」という無理のないレース運びで、直線へと向かうことになる。

馬場一杯に広がっての追い比べから、まず先頭に躍り出たのはウインマーベル。ここに末脚鋭く襲いかかったのがソウルラッシュだ。残り200メートルで交わし切ると、さらに後続を突き放していく。最後は、粘るウインマーベル、追いすがるエルトンバローズに、ブレイディヴェーグやチャリンも加わった激しい2着争いを2馬身半後方に見ての1着。団野騎手が拳を振り上げながらゴールする、痛快な勝利となったのだった。

ソウルラッシュの芝マイルでの戦績は、GⅠ以下なら6勝・2着2回・3着1回とほぼパーフェクト。だがGⅠでは、安田記念が13着、9着、3着、マイルチャンピオンシップは4着、2着、昨年の香港マイルは4着。大舞台で味わい続けた悔しさを闘志に変え、経験を自信に変えて、6歳にしてつかんだビッグタイトルである。

（谷川　善久）