暮れのダート王決定戦・チャンピオンズC（GⅠ）では、フェブラリーSと同様の逃げ切りを狙って3番人気インティが隊列を先導する。2年前のこのレースの覇者、1番人気ゴールドドリームも好位へ。これらを見る位置にはJBCクラシックで熱戦を演じた5番人気チュウワウィザードと4番人気オメガパフュームが構えた。

有力各馬が早めの位置取りに成功する中、2番人気クリソベリルもインティの直後、内ラチ沿い3番手を確保する。鞍上の川田将雅騎手が「言うことなし。リズムよく走れているし、望んだ通りの展開」と振り返るポジショニングだ。

ここまでのクリソベリルは、新馬、500万下、兵庫チャンピオンシップ、ジャパンダートダービー、そして前走・日本テレビ盃と、いずれも後続を突き放す強い内容で5連勝を飾ってきた。

「でも古馬一線級と走るのは初めて。果たして、どういう競馬ができるのか？」

期待と不安をともに抱きながら最後の直線へと向かった川田騎手は、ほどなく、最高の回答をクリソベリルから受け取ることになる。

粘るインティ、並びかけるゴールドドリーム、2頭の間を、クリソベリルが突く。

「両サイドの素晴らしい馬たちを相手に、自分で抜け出してくれた」という力強い末脚を繰り出して、クリソベリルは先頭ゴールを果たす。デビュー6戦目での古馬GⅠ制覇はグレード制導入以降4頭目、無敗のままとなると2002年エリザベス女王杯のファインモーション以来の大偉業だ。

「まだ馬体が大きくなっている最中。成長しながらここまで来た。圧倒的なポテンシャルを秘めている。もっと強くなると思います」と川田騎手。その感触が確かならば、クリソベリルの快進撃は、まだまだ続きそうである。

（谷川　善久）