史上初となる外国馬の参戦を得た阪神ジュベナイルフィリーズ（GⅠ）。その難敵や国内のライバルたちを打ち負かし、フルゲート18頭の戦いを制したのはアルマヴェローチェだ。

前哨戦アルテミスSで2着に逃げ粘ったミストレスがここでもハナを切る。同3着のショウナンザナドゥ、ブリーダーズカップジュベナイルフィリーズターフ2着のメイデイレディ、萩S勝ち馬テリオスララなどが先行し、ファンタジーSを差し切ったダンツエラン、デイリー杯2歳Sで牡馬勢をねじ伏せたランフォーヴァウ、アルテミスS1着のブラウンラチェットらが中団を形成。新馬と紫菊賞を連勝してきたビップデイジー、新潟2歳S2着のコートアリシアンは後方に控えている。

アルマヴェローチェは中団馬群の中。札幌2歳S2着以来の実戦だが「レースセンスが良く、操縦しやすい馬」と語る岩田望来騎手を背に落ち着いた追走だ。4コーナーで内の馬から馬体を寄せられるシーンはあったものの「ゴーサインを出せばすぐ反応してくれる」と、自信とともに直線へと向かうのだった。

粘るミストレスを、好位からショウナンザナドゥとテリオスララが競り落とそうとする。そこへ外から併せ馬の形で伸びてきたのがアルマヴェローチェとビップデイジーだった。

「いい脚を使ってくれて気持ち良かった」という岩田騎手に追われ、最後はビップデイジーを1馬身4分の1突き放してのゴールで、アルマヴェローチェはGⅠ初制覇を果たす。

岩田騎手にとってもデビュー6年目で初めてつかんだGⅠタイトルとなった。これまで2着惜敗が2回。また同期の中ではトップの勝ち星をあげながら、団野大成騎手（高松宮記念、マイルチャンピオンシップ）、菅原明良騎手（宝塚記念）に先を越された焦りもあっただろう。

「悔しい思いをしてきた。勝てて嬉しい」と、ガッツポーズで喜びを爆発させる姿も清々しい、力強い差し切り勝ちだった。

（谷川　善久）