フォーエバーヤングによるサウジC制覇の興奮冷めやらぬなか、東京では国内のダート頂上決戦・フェブラリーS（GⅠ）が行われた。

平安S逃げ切りのあるミトノオーがハナに立つと、プロキオンS逃げ切りのサンデーファンデーがピタリと続く。好位には武蔵野S勝ち馬エンペラーワケアや根岸Sを差し切ったコスタノヴァ、その直後にジャパンダートクラシックでフォーエバーヤングの2着に健闘したミッキーファイト、チャンピオンズC3着のドゥラエレーデ、連覇を目指すペプチドナイルらがポジションを取り、昨年2着のガイアフォース、みやこSなどの勝ち鞍があるサンライズジパングは後方に構える形となった。

淡々とした、しかし息の入らない流れのまま隊列は3コーナー、4コーナーと通過し、勝負は直線へ。スッと馬場の真ん中に持ち出されてスパートのタイミングをうかがうのはコスタノヴァだ。東京のダートでは、1勝クラスの平場、2勝クラスのアプローズ賞、3勝クラスの白嶺S、オープン特別の欅S、そして前走・根岸Sと5戦して負け知らず。“ここは我が舞台”とでも言わんばかりの自信とともに一気に加速すると、残り300メートルのあたりで敢然と抜け出す。

先行勢の間を割るエンペラーワケア、外から併せ馬で迫るミッキーファイトとペプチドナイル、内ラチ沿いを伸びるサンライズジパングらが詰め寄ろうとするも、コスタノヴァはこれらを振り切ってゴールへ。東京での連勝を「6」へと伸ばすと同時に、GⅠ初挑戦初制覇を成し遂げたのである。

「乗りやすい馬。素晴らしい勝ち方だった。これからもこのクラスで活躍できる」と鞍上のレイチェル・キング騎手。豪州では幾度もG1を勝っているキング騎手だが、JRA・GⅠ勝利は初のこと。そしてそれは、女性騎手として初めてJRA平地GⅠを制するという、歴史的な勝利ともなったのである。

（谷川　善久）