ここまで10戦して7勝、2着3回とパーフェクト連対継続中のレモンポップ。近2走は武蔵野Sがハナ差の2着、根岸Sは先行抜け出しからの完勝と、重賞でも地力の確かさを見せつけてきた。フェブラリーS（GⅠ）には単勝オッズ2.2倍の1番人気に推されての出走。その期待に応えて、レモンポップは持ち前の安定感と充実ぶりを披露する。

好スタートを切ったレモンポップは、かしわ記念1着のショウナンナデシコやマイルチャンピオンシップ南部杯2着のヘリオスらにポジションを譲り、自らは好位4、5番手に収まる。初めて鞍上を託された坂井瑠星騎手いわく「行く馬を行かせて、それを見ながら進められればと、思い描いていた通り」の展開だ。

レモンポップの傍には、全日本2歳優駿勝ち馬で2番人気のドライスタウト、昨年2着のテイエムサウスダン、カナダから参戦のシャールズスパイトなど。一昨年の武蔵野Sを制したソリストサンダー、JBCスプリントの勝ち鞍を持つレッドルゼル、公営浦和の強豪スピーディキック、昨年の帝王賞で金星をあげたメイショウハリオらは後方に構える。

息の入らない流れのまま、隊列は3コーナー、4コーナーと回っていく。

直線。レモンポップは前の馬たちにジワリと外から並びかけていく。「追い出しをガマンした」と坂井騎手が振り返った通り、スパートをかけたのは残り300メートルあたりだった。すると苦も無く先頭に立ち、後続を突き放したレモンポップは、堂々とゴールを目指す。追い込んできたレッドルゼルやメイショウハリオを完封しての1着。まったく危なげなくGⅠ初挑戦初制覇を成し遂げたのである。

「ここを勝ったことで今後の選択肢も広がった。精神的にどっしりしていて、安心してレースに行ける馬。これからも楽しみ」と坂井騎手。さらに距離を延ばすのか、あるいはスプリント戦に挑むのか。いずれにせよ、これまで通り安定感あふれる走りを見せてくれることに期待したいところだ。

（谷川　善久）