朝日杯フューチュリティS（GⅠ）では、京王杯2歳Sをレコードで制したタイセイビジョン、デイリー杯2歳Sで鮮やかな差し切りを決めたレッドベルジュールらを抑えて、サリオスが単勝オッズ2.0倍の1番人気に支持された。6月の新馬戦で早々に勝ち上がり、それ以来4か月ぶりのレースとなったサウジアラビアロイヤルCも1分32秒7の2歳コースレコードで勝利。いずれも東京・芝1600メートルで2連勝を飾り、ここへ乗り込んできた素質馬だ。

そしてサリオスは、今回も持てる力を存分に発揮し、注目に応えてみせた。

函館2歳王者で京王杯2歳Sでも2着に逃げ粘ったビアンフェが、ここでも好ダッシュからハナを切る。サリオスもやや促されながら3から4番手につけると、緩みのないラップを無理なく追走。鞍上のライアン・ムーア騎手曰く「思い通りの位置。スムーズな競馬だった」という展開だ。

直線でも、サリオスが繰り出すスパートは力強かった。まずはビアンフェを交わすと、食い下がってきたタイセイビジョンとタガノビューティーを突き放すように、もうひと伸び。最後はタイセイビジョンに2馬身半差をつけてゴールへ飛び込む。勝ち時計1分33秒0は、一昨年ダノンプレミアムが記録したタイムをコンマ3秒更新するレースレコードだ。

「血統もいい（母は独オークス馬）、性格も頭もいい、最後の反応も良かったし馬体もしっかりしている。ただ、カーブでは子供っぽさが出てしまった」とムーア騎手。確かに、4コーナーでは一瞬だけ脚取りが乱れたようにも見えた。が、それでもレコードを叩き出し、後続を置き去りにしたところがサリオスの強さ。高い完成度のなかに、まだ上昇の余地も残す、そんなデビュー3連勝&GⅠ初制覇といえそうである。

（谷川　善久）